2025年3月24日 The Bell
有機EL(OLED)材料メーカーのマテリアルサイエンスが、「クォンタムジャンプ(飛躍的成長)」の目前に迫っている。主力顧客であるLGディスプレイが反転攻勢を準備しており、接点を拡大して共に成長することが期待されている。
最近正式に就任したキム・ジョムジェ マテリアルサイエンス代表は、京畿道義王(ウィワン)研究所でのインタビューで「昨年、大規模量産のための設備投資(CAPEX)と研究開発費(R&D)が増加したことで、今年は売上を3倍以上に引き上げることを目標にしている」と語った。
◇30年のLGディスプレイでの経験を注入
キム代表は3月17日に開催された第11回定期株主総会を経て代表取締役に就任した。昨年5月頃に会社に合流していたが、この日をもって正式に就任した。
キム代表は「OLED事業の急速な変化の中で技術革新と事業最適化を進め、マテリアルサイエンスを世界的なOLED材料企業へと成長させる」と強調した。
彼はLGディスプレイで基盤技術研究所長などを歴任し、29年以上にわたって勤務してきた専門家だ。マテリアルサイエンスが新たな代表を探す過程で、LGディスプレイからの推薦もあったという話も伝えられている。
専門性に加え、LGディスプレイでの長年の経験はキム代表の強みとされている。OLED材料企業にとって、ディスプレイメーカーとの密接なコミュニケーションは不可欠だ。キム代表のネットワーキング能力は、マテリアルサイエンスとLGディスプレイの関係を円滑に進める「潤滑油」として期待されている。LGディスプレイは、マテリアルサイエンスの第3位株主(10.6%の株式保有)でもある。
OLEDは複数のレイヤー(層)で構成されており、その中核となるのが「有機発光層(EML)」だ。有機発光層は、陽極(Anode)–正孔注入層(HIL)–正孔輸送層(HTL)–発光層(EML)–電子輸送層(ETL)–電子注入層(EIL)–陰極(Cathode)という順番で構成されている。
このうち、EMLはさらにレッド・グリーン・ブルー(RGB)のドーパント、ホスト、プライムに分けられる。ドーパントとホストは発光の役割を果たし、プライムはこれらの材料の発光効率を高める役割を担っている。
マテリアルサイエンスは、ブルードーパント、HTL(正孔輸送層)、電子ブロック層(EBL)などを扱っており、継続的な研究開発(R&D)を通じてポートフォリオを拡大している段階だ。
数年間苦境が続いたマテリアルサイエンスは、昨年業績の反転に成功した。2024年の売上は66億ウォン、営業利益は3億ウォンと、前年比で7倍増、黒字転換を果たした。キム代表は「昨年はLGディスプレイ向けの売上増加、中国向け輸出拡大などが重なった結果」と説明し、「特に新規OLED材料の量産に成功したことで、関連市場での技術的優位性を確立できた」と付け加えた。
今年の売上目標は約180億ウォン、営業利益は40億ウォン前後を見込んでいる。キム代表は「LGディスプレイとの良好な関係を維持する一方で、中国市場からのフィードバックも良好だ」と述べ、「主にスマートフォン分野での協力が進んでいる」と語った。