Solus Advanced Materials、特許2件が最終的に無効、サムスン子会社のNovaledに敗訴


2025年3月10日 The Elec

 

Solus Advanced Materials(ソルース先端素材)、サムスンディスプレイ向けQD-OLED電子輸送層の供給に暗雲

 

ソルース先端素材が新規事業への進出を目的に登録していた特許2件が最終的に無効とされた。まだ1件の特許に対する判断は残っているものの、争点となった3件のうち2件が無効となったため、新規事業への影響は避けられない。ソルース先端素材を提訴したドイツのNovaled(ノヴァレッド)の立場はより強固になった。

 

10日、業界関係者によると、特許法院は先月、ソルース先端素材の「電子輸送層材料」に関する特許2件(登録番号2282799、2344831)について無効と判決を下した。ソルース先端素材はこの判決に対して大法院への上告を行わず、判決は先週、最終確定した。

 

これに先立ち、2023年5月に特許審判院がこれらの特許2件を無効と判断した際、ソルース先端素材はこれに不服を申し立て、特許法院に審決取消訴訟を提起した。しかし、特許法院も審決取消訴訟でノヴァレッドの主張を認める判決を下した。ノヴァレッドは一貫して、ソルース先端素材の特許は無効であると主張してきた。

 

ソルース先端素材は、自社の別の「有機エレクトロルミネッセンス素子」(登録番号2216993)に関する特許1件についてもノヴァレッドと争っている。特許審判院は2023年4月にこの特許も無効であると判断し、ノヴァレッドの主張を認めた。ソルース先端素材はこの審決に不服を申し立て、特許法院に審決取消訴訟を提起しているが、まだ判決は下されていない。

 

ソルース先端素材は、サムスンディスプレイに大型量子ドット(QD)-有機EL(OLED)向けの電子輸送層を供給するため、数年間にわたり関連技術を開発してきた。しかし、この市場は現在、ノヴァレッドが独占している。

 

ノヴァレッドは、自社が独占する市場にソルース先端素材が参入を試みたため、防衛策としてソルース先端素材の特許3件に対し無効審判を請求した。ソルース先端素材は、特許審判院で3件すべてが無効との審決を受けると、権利範囲を縮小する訂正審判を特許審判院に請求した。しかし、最終的に2件が無効となった。

 

ノヴァレッドは、サムスングループの子会社が100%の株式を保有するドイツのOLED材料メーカーである。2023年6月末時点でのノヴァレッドの株式比率は、サムスンSDIが50.1%、サムスン電子(Samsung Electronics Europe Holding Cooperatief UA)が40.0%、サムスンディスプレイが9.9% となっている。

 

昨年、ソルース先端素材のOLED材料事業の売上は1,264億ウォン で、前年比14%増加した。ソルース先端素材は、この成長の要因として、顧客企業のOLED生産ラインの稼働率向上を挙げている。同社のOLED材料の主要顧客は、サムスンディスプレイ、LGディスプレイ、BOE、天馬(ティエンマ)、Visionox などである。2025年のOLED材料売上目標は1,350億ウォン としている。

 

しかし、ソルース先端素材にとって痛手となったのは、サムスンディスプレイ向けの最新中小型OLED材料セット用の正孔ブロック層(a-ETL・HBL) の納品が実現しなかったことである。a-ETLは、かつてサムスン電子のGalaxy Note 4 に初めて採用された際、それ以降はサムスンSDIに続いてソルース先端素材が独占供給してきた。しかし、最新のM13およびM14モデルでは、LG化学がa-ETLを供給 している。

 

2024年、ソルース先端素材の全社売上は5,710億ウォン で、前年より33%増加したものの、営業損失は544億ウォン となり、3年連続の赤字となった。