韓国の洗浄装置メーカーのFNSテック、2024年の売上が2倍に拡大


2025年4月4日 The Elec

 

ディスプレイ用の湿式装置を主力とするFNSテックは、2024年に885億ウォンの売上を記録しました。これは2023年の389億ウォンと比べておよそ2.3倍に当たります。また、同じ期間の営業利益も、2023年の23億ウォンから2024年には88億ウォンへと大幅に増加しました。

 

2024年の売上885億ウォンのうち、装置による売上は639億ウォン、部品・素材による売上は246億ウォンでした。装置部門の売上は前年(153億ウォン)から4倍以上の成長となっています。FNSテックの主力事業は、ディスプレイ分野におけるエッチング、剥離、洗浄などを行う湿式装置の製造です。

 

昨年は、サムスンディスプレイによるIT用第8世代有機EL(OLED)への投資が実施された年でもありました。この影響でFNSテックの装置売上には、以下のような単一販売供給契約が計上されました。たとえば、2023年5月にサムスンディスプレイと締結した装置供給契約360億ウォン分、2023年11月にケムトロニクスと締結した大型ガラススリミング装置111億ウォン分、さらに2024年7月には同じくケムトロニクスと締結した41億ウォン分の同様の装置が含まれます。ケムトロニクスとの契約におけるエッチング工程用装置の最終顧客もサムスンディスプレイです。

 

FNSテックの部品・素材売上も成長は緩やかではあるものの増加傾向にあります。2024年の部門売上は246億ウォンで、2023年の236億ウォンに比べて10億ウォンの増加となりました。

 

また、FNSテックはCMP(化学的機械的研磨)パッド事業の育成にも取り組んでいます。CMPパッドは、半導体ウェハーの表面を物理的かつ化学的に反応させて平坦化する際に使用される素材です。CMPパッドの主な顧客はサムスン電子であり、この製品の売上は2022年の36億ウォンから2023年には60億ウォンへと伸び、昨年も引き続きわずかに増加したと推定されています。

 

(資料=FNSテック)
(資料=FNSテック)

 

昨年の第3四半期から、FNSテックは大型OLED向けのオープンメタルマスク(OMM)洗浄サービスによる売上を新たに計上し始めました。このサービスは、顧客企業の製造ラインで使用されたOMMをFNSテックの工場で精密に洗浄し、再び供給するというもので、これまでは中小型向けのマスクのみを対象にしていました。なお、マスク洗浄装置は子会社のMSソリューションを通じて自社で開発しており、洗浄に使う化学薬品も独自に開発したものです。

 

もう一つの部品・素材分野の事業には、総有機炭素(TOC)酸化装置や紫外線(UV)ランプがあります。FNSテックは事業報告書の中で、「顧客企業は当社と米国系列企業のTOC酸化装置を併設しており、最近新たに設置されるラインでは当社製品の比率が高まり、場合によっては当社製品のみが導入されている」と説明しています。

 

このように部品・素材の売上が増えることで、ディスプレイ関連顧客企業の投資規模によって全社の業績が大きく変動するリスクを抑える効果が期待されます。FNSテックの装置部門の売上は、2020年には752億ウォンだったのが2023年には153億ウォンまで落ち込んだ後、2024年には639億ウォンまで回復しました。全体の売上も、2020年には919億ウォンだったものが2023年には389億ウォンに減少し、その後2024年には885億ウォンに急増しています。

 

2024年末時点の受注残高は、装置が329億ウォン、部品・素材が27億ウォンで、合計356億ウォンとなっています。これは、2023年末の受注残高(装置502億ウォン、部品・素材29億ウォン、合計531億ウォン)と比べるとやや少ない数字です。2024年にFNSテックの売上として計上されると見込まれる装置の単一販売・供給契約には、2024年2月にサムスンディスプレイと締結した127億ウォンの工程装置、9月に締結した133億ウォンの工程装置、10月に締結した47億ウォンの工程装置などがあります。