韓国のAffirmaが買収した「SK Nexilisのフレキシブル銅張積層板(FCCL)事業部」の新社名は「Flexion」


4月22日 The Elec

 

プライベート・エクイティ・ファンド(PEF)運用会社のアッパルマキャピタル(Affirma Capital)が買収したSKネクシリスのディスプレイ用フレキシブル銅張積層板(FCCL)事業部の新名称が「フレクシオン(Flexion)」に決定されたことが、4月22日に明らかになりました。

 

アッパルマキャピタルは、SKCからSKネクシリスのFCCL事業部を今月末に正式に買収する予定です。当初、SKCは昨年11月に当該事業部を今年2月に譲渡すると発表していましたが、実際の譲渡は2か月遅れとなりました。

 

アッパルマキャピタルは、SKネクシリスのFCCL事業部買収のために特別目的会社「アッセンタ第6号私募投資合資会社」を設立し、出資者を募るため複数の機関と接触を続けてきました。

 

SKネクシリスは先週、「営業譲渡に伴う個人情報移転のご案内」の中で、「譲受人であるアッセンタ第6号私募投資合資会社の地位が、下記法人(フレクシオン)へと移転された」として、新会社名を正式に明らかにしました。

 

またSKネクシリスは先月中旬に、韓国特許庁へ「フレクシオン(Flexion)」を商標として出願しました。商標分類は「06」と「09」に分かれ、「06」では銅箔や回路基板製造用の金属フィルムおよびシートなど、「09」ではディスプレイパネルおよび関連部品、バッテリーリード線などが指定商品として含まれています。これら指定商品は、商標が使用される商品やサービスの分野を定めるものであり、商標の効力範囲を決定する基準となります。

 

アッパルマキャピタルは、SKネクシリスのFCCL(フレキシブル銅張積層板)事業部の既存社員に対して、1人あたりおよそ2,500万ウォン程度の慰労金を支給する方向で協議していることが分かりました。この事業部の社員たちは、過去数年間にわたり同様の慰労金を受け取ってきており、その背景には事業主が何度も変わった経緯があります。

 

SKネクシリスFCCL事業部のオーナーは、2017年にLSエムトロンの銅箔・薄膜事業部から、別のプライベート・エクイティファンドであるコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)へと移り、さらに2019年にはKKRからSKネクシリスへと再び変更されました。なお、KKRがオーナーだった当時、この会社は「KCFT」という名称でした。

 

今回の買収により、社員たちは再び慰労金を受け取れる可能性が高いと見られています。それは、アッパルマキャピタルが2〜3年後にこのFCCL事業部を再び売却する可能性が高いためです。同社はFCCLの中でも、ディスプレイのチップオンフィルム(CoF)製造に用いられるスパッタリング方式のFCCL市場に注目しています。CoF用途のスパッタリング方式FCCLの需要は、中国市場で特に大きく、中国のパネルメーカーが依然として強い影響力を持つ液晶ディスプレイ(LCD)市場において重要な部材となっています。

 

アッパルマキャピタルは、SKネクシリスのFCCL事業部買収のために設立した特別目的会社(SPC)の出資者を募る過程で、他社の事業部買収も計画していることを明らかにしました。CoF用のスパッタリング方式FCCL市場においては、SKネクシリスのほか、東レ先端素材や住友電工などが主要企業です。もしアッパルマキャピタルがこの3社のうち2社を買収すれば、市場支配力を高めることが可能になります。ただし、CoF用FCCL市場の独占・寡占化に伴って、各国の競争当局からの承認が必要になるとみられます。

 

FCCL市場は大きく2つに分けられます。スマートフォンやテレビなどのディスプレイに使われるCoF用FCCLは、主にスパッタリング方式で製造されます。一方、フレキシブルプリント配線板(FPCB)製作用のFCCLは、ラミネート方式またはキャスティング方式で作られています。市場規模の観点から見ると、ラミネート・キャスティング方式のFCCL市場が全体の約80%を占めており、はるかに大きなシェアを持っています。FPCBはスマートフォン、電子機器、自動車などに広く使用されています。

 

ラミネート・キャスティング方式のFCCLを製造している韓国企業には、斗山電子やネクスフレックスなどがあります。さらに台湾や中国の企業を含めれば、関連企業の数はさらに増えることになります。