韓国製のシャドウマスクの開発...有機ELの量産ラインで検証段階


2017.03.20 ET news

 

韓国の中小企業であるウェーブエレクトロニクスが中小型有機EL(OLED)用シャドウマスク(Shadow Mask)の国産化を目指し、開発は9合目を超えた。近いうちに、ディスプレイの生産ラインで量産性を検証して、生産性を打診する。日本企業が独占したシャドウマスク市場に初めて韓国企業が参入するかどうかに関心が集中した。 

 

ウェーブエレクトロニクス(代表バクチョンソク)は、6年余りの研究で開発した、中小型ディスプレイ用シャドウマスクのプロジェクトの仕上げ段階に入った。当初、昨年に開発を終え、今年上半期の量産を開始するのが目標だったが、熱膨張係数(CTE)をより下げるために時間がかかり、目標の時点よりやや遅れて量産性の検証をすることになった。 

 

中小型OLED用シャドウマスク市場は大日本印刷(DNP)が、サムスンディスプレイに単独での供給を行っており、世界市場をほぼ独占した。日本凸版印刷がLGディスプレーに供給しているが、まだ生産量が多くない。 シャドウマスクは、有機EL(OLED)製造において、有機物質を目的のピクセルの位置に蒸着させる消耗部品である。紙よりも薄いメタル素材の板に10マイクロメートル(㎛)レベルの多くの小さな穴があいている。ファインメタルマスク(FMM)工程で赤色(R)、緑(G)、青(B)有機物を蒸着して画素を形成するために使用する。 非常に穴が小さいうえに、蒸発した有機物を基板に蒸着するときにシャドウマスクの厚さと蒸着方向からの角度が生じ、有機物パターンが重なって蒸着される区間(Shadow Distance)が発生する。このシャドウ区間が大きくなるほど全体の解像度が低くなって、高解像度のパネルを製造するのは難しい課題が生じる。シャドウマスクの厚さを小さくすると、問題を軽減することができる。非常に技術難度が高き、韓国の製品で量産ラインに適用された事例がない。 

 

ウェーブエレクトロニクスは、既存の日本の競合他社が提供するスマートフォン用QHD解像度の製品を置き換えることができるシャドウマスクを開発した。熱膨張係数(CTE)が低いインバー(Invar )素材を基板に薄くメッキする重要技術を開発した。 

 

蒸着工程で粉にされた有機物質を気化させるとき、高い熱が必要である。この過程でシャドウマスクが熱により温度が高くなると膨張するので、パターニング位置が変わるようになって正確な位置に堆積させる難しくなる。ウェーブエレクトロニクスは、熱膨張係数を下げたメッキのシートを製作して、既存の製品よりも正確にパターニングすることができるように実装した。 

 

ウェーブエレクトロニクス関係者は「低熱膨張係数を実現するために開発を集中し、近いうちパネルメーカーの生産ラインで開発の結果を検証する予定」とし「年内の量産に成功するのが目標」と述べた。また、「フラッグシップスマートフォン市場への参入を目指しQHD解像度はもちろん、UHDの解像度製品も着実に開発している」とし「インバーメッキの分野で世界最高の技術力を確信している」と付け加えた。 市場調査会社IHSは第6世代OLED生産ラインの投資が増えており、中小型OLED用シャドウマスクの市場が2016年の1億6,500万ドルで2019年6億ドル規模に成長すると予想している。