2019.09.29 ET News
大型有機EL(OLED)パネルは、LGディスプレーが世界で唯一の生産メーカーである。水分と空気に脆弱な有機物を利用して低コストで第8世代(2200×2500㎜)規格のOLEDパネルを作る技術難度はかなり高いと評価される。
ヤス(代表ジョングァンホ)はLGディスプレーが第8世代OLEDを量産化するために貢献した重要なパートナーのひとつに数えられる装置メーカーである。同社はOLEDの前工程に属する第8世代蒸着装置を独自の技術で開発し商品化した。
現在、世界のディスプレイ市場で第6世代OLED向け蒸着装置はキヤノントッキが、第8世代OLED向け蒸着装置はヤスが先行している。6世代蒸着装置の場合、韓国の多くの装置メーカーが後発である。キヤノントッキは独占的な立場である。一方、第8世代蒸着装置はヤスが、世界で唯一量産している。
ヤスが挙げる大型OLED蒸着装置のキーは「大面積基板制御」技術である。
LCD基板は、一般的に大気圧環境で移送するため、大面積基板を持ち上げて移動させるのに大きな困難はない。
一方、OLEDは、蒸着工程が真空状態で行われる。大型の真空チャンバー内で大きさが2200×2500㎜基板を持ち上げた後、いくつかのチャンバに移送して基板を反転するなど多様に動かなければならない。真空中の重力によって薄い基板が下にたるむ現象が発生するので、これを考慮した設計が必要である。
ガラス基板側面をつかんで持ち上げるとき、真空状態で基板が下に抜けてしまう問題も発生する。画素を形成する基板上面に物理的接触があれば、不良が発生するので、基板の裏面のみに接触して安定的に真空状態で搬送する技術の確立が難しい。
ヤスは、基板をたわみなく安定的に持ち上げるために粘着チャックを開発した。基板たわみを防止することができる板に複数回に渡り、付けたり離しても粘着特性を維持する特殊な素材を設け、基板に損傷を与えずに、水平に移動させる技術である。粘着剤の開発のために、外部の素材の企業と協力した。
この第8世代蒸着装置技術のノウハウを10.5世代の規格にも無理なく適用した。
システム事業部長常務は「10.5世代OLED蒸着技術は、すでに準備した」とし「既存の方式と大きく異ならず、安定的に10.5世代パネルを制御することができる」と説明した。
ヤスは第6世代蒸着装置市場にも進出してシェア拡大を狙っている。6世代蒸着装置には蒸着源を中心に供給する。国内外パネルメーカーの量産ラインに適用された。ヤスの蒸着源と、他社メーカーの蒸着装置システムを結合する形で導入された。
常務は、「10.5世代OLED蒸着装置を安定的に供給し、国内外での完成品の形の第6世代OLED蒸着装置を拡大供給するのが目標」と「超大型と小型OLED市場でヤスの技術力を普及させる」と述べた。