2017.05.02 ET News 韓国のディスプレイ製造装置企業のアイシーディー(ICD)が有機EL(OLED)のエッチング装置市場でダークホースに浮上した。今年はこの分野の強豪メーカに挑む。この分野の強者であるウォンイクIPSと東京エレクトロンを抜いて、サムスンディスプレイ向けにほとんどの装置を受注したのに続き、今年は中国などで領域を拡大する。 ICD(代表イ・スンホ)は、今年は中国の中小型フレキシブル有機EL用ドライエッチング装置の供給を拡大して、機種を多様化する計画である。一般のドライエッチング装置よりもプラズマ密度を高め、性能を引き上げたHDP(High Density Plasma)エッチング装置を投入する。 ICDは、液晶(LCD)用エッチング装置市場で頭角を表した。しかし、サムスンディスプレイA1ラインではフレキシブル有機EL用ドライエッチング装置の台数の約90%を供給し、市場のダークホースとして急速に浮上した。 後発のICDがこの市場の首位に立ったのは、エッチング装置の重要部品であるESC(静電チャック)を独自開発で内製化したことが功を奏した。 ESCは、エッチング工程で基板が動かないように磁場を利用して制御すると同時に、温度を調節する重要な部品である。マザーガラスよりも少し大きいサイズの目に見えないほど微細な穴があいている。この穴にガスを注入して、基板温度を調節する。 ICDは、独自の技術で、ESCを開発しエッチング装置に組み込んだ。外部から部品を調達しなければならない国内外の競合他社よりも、コストを大幅に削減することができるようになった。 エッチング工程の全過程にわたる装置をすべて備えたので、競争力を認められた。パネルメーカーがエッチング工程システムを簡潔かつ安価に構築することができるようにサポートしながら、安定した歩留まりを実現したので、強みに作用した。昨年基準でHDPエッチング装置は、ICDの売上高の76%を占めた。 また、海外の蒸着装置企業に供給している蒸着装置の搬送システム事業も成長している。世界のパネルメーカーからの有機EL蒸着装置の需要が急増しており、その影響で主なベンダーであるICDも売上高が増加している。昨年の総売上高2,309億ウォンのうち、約600億ウォンが蒸着装置の物流搬送システム部門で発生した。 ICDは、第1四半期の売上高1,174億ウォンを達成し、前年同期比1,243.6%も成長した。前四半期より66.2%増加した。営業利益は132億ウォンで、昨年の年間利益水準に近い。 ICDの関係者は、「今年の3,000億ウォンの売上を達成するのが目標」と「中国でのディスプレイの投資が増えており、中国での成果をより高めるために努力している」と述べた。