折りたたみスマートフォンのOLEDディスプレイ、偏光板を取り除いたCoE(Color on Electrode)の適用が拡大...サムスンディスプレイに続き、BOEおよびCSOTも採用


2023/09/15 The Elec

 

折りたたみスマートフォン市場の拡大と共に、偏光板を取り除き、消費電力を節約し、光透過率を向上させる「CoE(Color Filter on Encapsulation)」技術の適用が増えています。2年前、サムスンディスプレイが供給したSamsung Galaxy Z Fold 3は、CoE技術を初めて採用したモデルでした。今年は、CoEを採用した折りたたみスマートフォンモデルも増加しました。CoEを採用した折りたたみOLEDパネルを生産した企業リストには、サムスンディスプレイのほかにBOE、CSOTなどの名前も含まれています。

 

市場調査会社のオムディアによると、今年発売された折りたたみスマートフォンの中で、CoEを採用したモデルには、Samsung Galaxy Z Fold 5、Oppo Find N3およびN3 Flip、Xiaomi Mix Fold 3、Vivo X Fold 2、Google Pixel Fold、Transsion Tecno Phantom V Flip、Motorola Razr 40およびRazr 40 Ultraなどがあります。

 

CoEは、有機EL(OLED)ディスプレイで、偏光板を取り除き、ブラックPDL(Pixel Define Layer)を導入して消費電力を節約し、光透過率を向上させる技術です。これは、OLEDを水分や酸素から保護する薄膜封止(TFE)上にカラーフィルター(CF)を低温で印刷し、ブラックPDLを使用する技術を結びつけたものです。

 

CoEを採用した折りたたみスマートフォンパネルの量産は、Samsung Displayが最も早かったです。Samsung Displayは、2021年にSamsung Galaxy Z Fold 3にCoE技術を初めて適用した折りたたみスマートフォンパネルを最初に供給しました。今年、Samsung DisplayはSamsung Galaxy Z Fold 5、Xiaomi Mix Fold 3、Vivo X Fold 2、Google Pixel FoldなどにCoEを採用した折りたたみスマートフォンパネルを単独で供給しています。Oppo Find N3向けのCoEを採用した折りたたみスマートフォンパネルは、Samsung DisplayとBOEが共同で供給しています。

 

BOEは、Oppo Find N3とN3 FlipにCoEを採用した折りたたみスマートフォンパネルを供給しています。CSOTは、Transsion Tecno Phantom V Flip、Motorola Razr 40およびRazr 40 UltraなどにCoE方式の折りたたみOLEDを供給しています。

 

CoE技術では、ブラックPDLが重要です。 CoEでは、赤(R)、緑(G)、青(B)のOLED間の隔壁に通常のPDLとは異なるブラックPDLを使用します。ブラックPDLは、オレンジ系の材料であるPDL原材料の光感応ポリイミド(PSPI)をブラック系に置き換えたものです。オレンジ系の材料をそのまま使用すると、光が反射してコントラストに影響を与える可能性があります。

 

Samsung Displayが使用しているブラックPDL(Pixel Define Layer)は、DS Neoluxが供給しています。一方、BOEやCSOTなどが使用しているブラックPDLは、日本の東レ(Toray)や三菱などが供給していると業界では推定されています。両社ともにSamsung DisplayのブラックPDL市場を狙って提案を行いましたが、実現しなかったとされています。

 

現在、CoE(Color Filter on Encapsulation)技術を採用したOLEDは、主に折りたたみスマートフォンに適用されていますが、応用先を拡大しようという努力が続けられています。サムスンディスプレイは、CoE方式のOLEDの適用をAppleに提案しているとされています。サムスンディスプレイは、CoE技術を採用したOLEDに加えて、パネルの輝度を向上させるためにマイクロレンズアレイ(MLA)を適用する方法もAppleに提案しました。MLA方式をAppleに提案したのはLG ディスプレイも同様です。AppleはまだCoE技術とMLA技術の適用に対して肯定的な回答をしていないとされています。

 

一方、従来のOLEDでは、偏光板はパネル外部から入射する光が画素間の電極に当たって反射するのを防いでディスプレイの視認性を向上させます。しかし、不透明なプラスチックシートである偏光板を光が通過すると、輝度が50%以上低下し、光効率が低下します。このため、輝度を向上させるにはさらに多くの消費電力が必要で、輝度の増加は製品寿命の短縮につながります。偏光板を取り除き、カラーフィルターを使用することで、OLEDでは色がより鮮明に表現され、消費電力が低下します。サムスンディスプレイはCoE技術に"에코스퀘어"(ECO2)というブランドを付けています。