2016/05/12
(大田=聯合ニュース)韓国の研究グループが赤・緑・青色有機発光素子(OLED)のうち、低い効率でOLEDの製造に障害となっている青色OLEDの効率と寿命を画期的に向上させ、蒸着・溶液工程がすべて可能な蛍光発光物質を開発した。
成均館大学(Sungkyunkwan University)化学工学部のイジュンヨプ教授チームは12日、蒸着と溶液プロセスの両方に使用することができ、蛍光有機発光材料の低効率と燐光発光物質の短寿命の問題を改善することができる青色熱活性化遅延蛍光(TADF)発光材料を開発したと明らかにした。
この研究結果は、光学材料分野の国際学術誌「アドバンスドオプティカルマテリアルズ」(Advanced Optical Materials)に掲載された。
OLEDは、携帯電話や大型TVなどに適用されており、今後曲がる(フレキシブル)ディスプレイなどの次世代ディスプレイなどに適用が拡大すると予想される。
OLEDの発光材料としては、赤と緑では、高効率燐光材料が使用されて、青色は効率が低い蛍光材料が使用されている。燐光発光材料は、蛍光発光物質よりも理論的に4倍の効率を実現できるという利点があり、これまで燐光発光材料を用いた青色OLEDが開発されたが、寿命が短く、実用化が困難であった。
燐光の代替技術として開発されているTADF発光物質は、青色リン光材料の短寿命の問題を解決し、燐光材料と同等のレベルの効率を実現することができるものと期待されている。
この教授チームは、この研究では、ベンゼン環に窒素が結合したベンゾニトリルに窒素を含む5員環にベンゼン環二つ結合している化合物であるカルバゾール(carbazone)5つを結合して新たな青色TADF発光物質(5CzCN )を合成した。
5CzCNは、既存の青色リン光OLEDと同様の発光効率を示し、溶液工程で青色OLEDを製作する場合にも、蒸着工程素子と同様のレベルの効率を示し蒸着と溶液プロセスの両方に使用できる可能性を示した。
5CzCNを利用して蒸着工程で作成された青色OLED素子は、量子効率(QE)が19.7%であり、溶液プロセスで作製した素子は18.7%を記録した。この研究で達成した蒸着素子と溶液工程素子の効率は、従来の青色蛍光素子よりも効率が3倍以上高くなったものである。
また5CzCNを利用した蒸着青色OLEDは、最初の明るさの80%以上が維持される時間が100時間以上で、寿命が従来のリン光OLEDやTADF OLEDより2倍以上改善されたことが確認された。
教授は、「この研究では、蒸着工程と溶液プロセスの両方に使用することができ、既存の蒸着工程の高効率OLEDの短寿命の問題と蛍光物質を利用した溶液工程OLEDの低効率の問題を同時に改善することができる青色TADF発光物質を最初にに開発したもの」とし「今後、技術先行獲得効果が大きいと期待している」と述べた。