天馬の有機EL事業が赤字に陥り、有機EL工場の売却を検討中


2018.04.29 ET News

 

中国の中小型ディスプレイメーカの天馬が、有機EL(OLED)事業を売却する可能性がある。その設備投資が引き続き遅れているからである。

 

29日、業界によると、最近、中国のパネルメーカの天馬が、国内ライバルであるCEC-パンダなどとOLED事業の売却のために交渉していることが分かった。LCDの価格が持続的に下落したうえ、OLED事業実績が悪化し、経営難に直面しているからである。最近OLED設備投資が遅れ、天馬がOLED市場から撤退する可能性が濃くなったという見方がされている。

 

天馬は中小型パネルを中心に市場に供給している。5.5世代液晶(LCD)工場でモニターパネルを主に製造し、上海で5.5世代リジッド(ガラス基板)OLEDを量産する。昨年は約130万枚のリジッドOLEDパネルを出荷したと見られる。 

 

武漢に第6世代フレキシブルOLED設備を投資したが、当初の計画より量産日程が遅れた。昨年3月の最初のパイロット稼働を行い、第2四半期に量産稼動予定だったが、まだ稼働していなかった。武漢で今年第3四半期からフレキシブルOLEDラインを追加投資する予定だったが、この日程も延期された。 昨年からリジッドOLEDと低温多結晶シリコン(LTPS)LCD間価格競争が激しくなり、天馬も関連業績が悪化したとみられる。昨年の営業利益は0ウォンを記録した。リジッドOLEDを供給するサムスンディスプレイも昨年第4四半期と今年第1四半期の事業ではかなり苦戦した。 

 

天馬の野心的な投資の武漢6世代フレキシブルOLEDファブが、量産に直面して危機を迎えたと思われる。追加投資した設備の発注を遅延し、既存発注した設備も生産ラインに納入されていない。 設備企業関係者は「天馬が昨年に設備を発注して、年末に納品することにしたが、数回にわたって装置搬入を遅延させている」とし「中国企業は、製品開発前受金を与えないので、装置搬入をするまでのコストを一銭も受けることができなくて、状況を見守っている」と伝えた。 

 

最近に第8世代LCD新規ラインを稼動したCEC-パンダと後発走者HKCが、天馬のOLED事業を買収するために協議していることが分かった。両社とも中国政府の資金が投入されているが、中国内の競合他社に比べフレキシブルOLED投資が遅い。天馬のOLED事業を買収し、新規事業のスピードを出すことができるという観測がなされている。 

 

製造装置企業は、このような最近の動向を注視している。最近、中国政府は、既存の投資事業の成果を検証しており、新規投資対象を厳しく審査しており、ややもすると天馬の事例で投資縮小に向かうかを懸念している。 

 

天馬の武漢6世代フレキシブルOLEDラインには、アルバックの蒸着装置とLG PRIの薄膜封止装置(TFE)の装置を使用するなど、新たな試みをした。この工場で成果を出せなければ、天馬に納入した装置企業の今後の事業が不利になる。 

 

ある関係者は「現地の投資基調が難しくなり、成果を出した企業とそうでない企業間の動きが徐々に変化している」とし「中国の事業の比重が大きくなった製造装置企業は今後の対応が必要だ」と述べた。 

 

(注:天馬はすでにこのET Newsの記事を否定し、OLED量産を積極的に推進しており、今年中に大手顧客に製品を出荷する計画を立てていると、述べている。http://oled-news.blogspot.jp/2018/05/oled.html