中国のBOE、フレキシブルOLED歩留まりの向上が進まないので、 投資を減速


2019.09.10 ET News

 

中国のBOEが第6世代フレキシブル有機EL(OLED)の収率不振と市場の需要の弱さで、当初計画した生産スケジュールを遅らせ、生産目標値も下方修正したことが分かった。BOEは、現在に量産稼動中の成都B7に続いて綿陽B11の試験稼動をしており、重慶B12と福州B15投資も用意している。しかし、市場の需要が低迷したうえ歩留まりの問題まで重なり、追加の投資速度にも変化が生じるのではないかという可能性が出た。

 

10日、業界によると、最近にBOEは成都B7に造成した第6世代フレキシブルOLEDの 3期目の稼働スケジュールを遅らせることにした。現在B7の 3期の投資分は月1万5000枚の生産能力の規模で、量産のための試験稼動中であった。

 

BOEが打ち出した理由は、市場の需要不振である。昨年からアップルOLEDのiPhoneの販売不振で、スマートフォン市場でフレキシブルOLED需要が大幅に減り、今年も上半期まで目立つような需要回復がなかった。

 

サムスンディスプレイの場合には、ギャラクシー新製品が発売されたし、iPhoneの新製品の発売を控えてフレキシブルOLEDを製造するA3ラインの稼働率が第2四半期から回復している。さらに、ディスプレイの指紋をすることができるFoD(Fingerprint on Display)機能が人気を得てリジッドとフレキシブルOLEDの両方の市場の需要が高まる効果を享受した。

 

一方、BOEはフレキシブルOLED事業で継続して苦戦すると思われる。積極的に生産能力を拡大しているが、量産稼動するラインでプレミアムスマートフォンの用途で使用できる製品の出荷量は微々たるものというのが業界の見方だ。

 

特にBOEは、タッチ一体型ディスプレイ技術FMLOC(Flexible Multi-Layer On Cell)の収率を高める努力をしていることが把握される。この技術は、サムスンのワイオクタと同様に、ディスプレイの中にタッチセンサーを内蔵して、全体のディスプレイの厚さを減らす方式である。

 

BOEは綿陽B11ラインの一部に、FMLOC工程を処理できるように構築した。この技術を新製品である「P30プロ」に適用するための準備している。

 

しかし、B7では当初の予想よりも歩留まりの確保に困難を経験し、P30プロ用の供給量も当初期待ほど確保できなかったという。

 

業界関係者は、「前工程収率は70%、モジュール工程も含めて50%程度は確保することが、主力顧客であるHuaweiに安定的パネルを供給することができるレベルである」とし「BOEはP30プロ向けの量の半分以上を供給する計画を立てが、目標値よりも実際のHuaweiから受注した量が大幅に減った」と説明した。

 

BOEは下半期フレキシブルOLED市場も否定的に展望している。最近2四半期の業績を発表し、下半期フレキシブルOLED出荷量が減少して、昨年より毎年出荷量が約3000万〜5000万台減少すると予想した。このため、B7の 3期の投資分の稼動予定も遅らせると見た。

 

業界では、BOEが歩留まりと市場の需要不振の問題を同時に経験しながら、今後の投資予定に変化が生じる可能性に注目している。積極的に生産能力を拡大しているが、収率と生産量が裏付けされていない場合は、実績の困難を経験するしかないからだ。

 

業界関係者は、「現在の工場での投資・生産スケジュールが遅れても、他の工場は計画通りの投資が行われている」とし「個別ラインごとに一定の遅延があるが、全体的に積極的な投資基調にまだ大きな変化はないように見える」と伝えた。