2023/09/01 The Elec
サムスンディスプレイとLGディスプレイは、アップルに対してiPhoneの有機EL(OLED)ディスプレイにマイクロレンズアレイ(MLA)を適用する提案を行ったとされています。 MLAは、光の経路を微調整して光の抽出効率を高める技術で、パネル内で反射された光を画面に向かって誘導することでOLEDの輝度を向上させることができます。 MLAを使用することで、同じ輝度でも従来のOLEDよりも消費電力を削減できます。
一方、MLAを適用して光の直進性を高めると、視野角が狭くなるという欠点があります。 MLAを使用して光の量を調整できるため、正面の輝度を向上させると、側面の輝度が低下するなど、利点と欠点が共存します。また、MLAの適用により製造コストが上昇する可能性もあります。アップルはまだ韓国の両ディスプレイメーカーからのMLAの提案に最終的な回答をしていないと報じられています。
サムスンディスプレイとLGディスプレイがMLAの適用を提案した理由には、OLED材料セットの限界の補完と、後発企業との差別化が含まれています。アップルは来年に発売予定のiPhone 16シリーズに適用を目指して、韓国の2つのパネルメーカーが開発中のOLED材料セットの特性がまだアップルの基準に達していないとされています。 MLAを適用して光を正面に送り込む量を増やすことで、OLED材料セットの効率が向上すれば、視野角を狭くすることを最小限に抑えることができる可能性があります。これはOLED材料セットの性能に依存し、韓国の2つのパネルメーカーの材料セットは異なります。
さらに、MLAの適用により、後発の中国BOEなどの企業との差を拡大することができます。 OLED市場で後発のBOEは、サムスンディスプレイの特許を侵害しながらも、アップルの要求に適合するOLEDを製造できていません。 MLAのような新しいプロセスが追加されると、BOEは別の障害に直面する可能性があります。
サムスンディスプレイはすでに2020年にGalaxy Note 20 Ultraを皮切りに、現在までGalaxy SシリーズのUltraモデルや中国のVivoなど約5〜6のモデルにMLAを適用しています。全体のモデル数は多くありませんが、ハイエンドのスマートフォンOLEDにMLAを適用した経験を積み重ねています。サムスンディスプレイは、OLEDを水分や酸素から保護した後、タッチ電極の上にインクジェット印刷方式でMLAを形成しています。
一方、LGディスプレイは大型のW-OLEDで一部のモデルにMLAを適用していますが、中小型のOLEDにはMLAが適用された事例はありません。 LGディスプレイはMLAを適用した大型W-OLEDに「META」という名前を付けています。