サムスンディスプレイ、SIDでRGB OLED用蒸着マスク適用技術を初公開


2024年5月13日  The Elec

 

サムスンディスプレイは、14日から16日(現地時間)にアメリカで開催される世界情報ディスプレイ学会(SID)の「ディスプレイウィーク2024」で、赤(R)緑(G)青(B)方式OLED on Silicon(OLEDoS)と、RGB方式OLEDoSを作るための蒸着マスクであるファインシリコンマスク(FSM: Fine Silicon Mask)を公開した。RGB OLEDoS用FSMの公開は今回が初めてである。

 

サムスンディスプレイは、昨年に買収したアメリカのRGB OLEDoS企業イマジン(eMagin)と共に関連製品を展示した。今回初めて公開されたRGB OLEDoS用FSMは、画素密度3500PPI(Pixels Per Inch)のRGB OLEDoSの実現をサポートする。

 

サムスンディスプレイは「RGB OLEDoSはRGBサブピクセルのサイズを数マイクロメートル(μm)レベルで蒸着する必要がある」とし、「これを実現するために8インチシリコンウェーハを基にFSMを製作した」と明らかにした。さらに「半導体の露光工程を通じて微細な穴を作るため、従来のファインメタルマスク(FMM)よりも密度の高いピクセルの実現が可能であり、FSMはRGB OLEDoS製造の核心である」と付け加えた。

 

1.03インチ3500PPI RGB OLEDoSと、OLEDoSを実際に適用した軍用照準器などのマイクロディスプレイ製品10種類以上が同時に展示された。

 

サムスンディスプレイは、14日から16日(現地時間)にアメリカで開催されるSIDの「ディスプレイウィーク2024」で極薄基板(UT)OLEDを展示した。(資料=サムスンディスプレイ)
サムスンディスプレイは、14日から16日(現地時間)にアメリカで開催されるSIDの「ディスプレイウィーク2024」で極薄基板(UT)OLEDを展示した。(資料=サムスンディスプレイ)

 

サムスンディスプレイは、IT製品に適用できる極薄基板(UT)技術も展示した。サムスンディスプレイは「UTはIT製品用有機発光ダイオード(OLED)に最適化された超薄型構造OLEDで、従来のリジッドOLEDではガラス基板が2枚使用されていたところを、ガラス基板(下板)1枚を省略することでリジッドOLEDよりも厚さ・重量を20%以上削減した」と発表した。これにより、従来よりも薄くて軽いノートパソコンやタブレットを作ることができる。

 

さらに「全面酸化物バックプレーン(Full Oxide Backplane)技術を適用し、IT製品用パネルとして初めて駆動周波数を1ヘルツ(Hz)まで低減した」とし、「写真や画像など静止画を表示する際の消費電力を40%以上削減でき、バッテリー使用時間を最大化できる」と説明を加えた。

 

サムスンディスプレイは「スマートフォンが成長停滞期に入る中で、拡張現実(XR)機器用マイクロディスプレイとIT製品用OLEDが新たなOLED成長動力として浮上している」と述べた。

 

サムスンディスプレイは、14日から16日(現地時間)にアメリカで開催されるSIDの「ディスプレイウィーク2024」で、超微細半導体粒子であるQDを利用してRGBピクセルを実現する次世代自発光技術QD-LEDを展示した。(資料=サムスンディスプレイ)
サムスンディスプレイは、14日から16日(現地時間)にアメリカで開催されるSIDの「ディスプレイウィーク2024」で、超微細半導体粒子であるQDを利用してRGBピクセルを実現する次世代自発光技術QD-LEDを展示した。(資料=サムスンディスプレイ)

 

サムスンディスプレイは、量子ドット(QD)発光ダイオード(LED)と、視線追跡無眼鏡3Dディスプレイ(LFD: Light Field Display)も公開した。

 

サムスンディスプレイが業界初公開したQD-LEDは、超微細半導体粒子QDを利用してRGBピクセルを実現する次世代自発光技術である。現在商用化されているサムスンディスプレイの大型QD-OLEDは、青色OLEDからの光がQD発光層を通過して色を作るが、QD-LEDはOLEDを使用せず、電流駆動によってQD RGBピクセルが直接光を発する。QDの広い色域と高い色精度、安定した材料特性などにより、製造効率が高く、インクジェット印刷による大面積パターン化も可能である。

 

今回公開された18.2インチQD-LEDは、3200x1800の解像度、プレミアムモニターレベルの画素密度202PPI、輝度250ニットを実現した。技術難度の高い環境に優しいカドミウムフリー(Cd Free)QDを使用してQD-LED製品を開発し、関連論文はSIDの「今年の優秀論文賞」を受賞した。

 

最新のQD-OLED製品も公開された。4K解像度の31.5インチ、360Hzリフレッシュレートの27インチゲーミングモニター、最高輝度3000ニットの2024年型65インチTV用パネルなどが展示された。

 

無眼鏡3Dディスプレイの一つであるLFDは、ディスプレイと光学技術を利用して両目が異なる映像を見られるようにし、立体感を表現する。16インチノートパソコンタイプのLFDは、使用者が視聴距離の40〜70cm内に入ると自動で3D機能がオンになる。視線追跡技術は、視野角40度の範囲で使用者の目の位置に合わせて3D画面をリアルタイムで補正し、FHD級の解像度のコンテンツを提供する。

 

また、サムスンディスプレイはOLED生産ラインで使用していたOLEDボット(OLED Bot)を展示し、フォルダブルOLEDの耐久性を強調した。OLEDボットは7.6インチのフォルダブルパネルを水が入った水槽に入れて揺らし、複数の鉄球を一度にパネルに落とすことでフォルダブルパネルの耐久性をテストした。