サムスンディスプレイ、6月のQD-OLEDディスプレイの試作計画


2021.03.31 THEELEC

 

サムスンディスプレイが量子ドット(QD)ディスプレイTVの試作品を、6月に製造する。市場でQD-有機発光ダイオード(QD-OLED)と呼ばれる製品である。サムスンディスプレイは、試作品をサムスン電子など送っ市場評価を行う予定である。サムスン電子映像ディスプレイ(VD)事業部がQD-OLED採用の可能性を開いたことが、サムスンディスプレイに好材料だ。

 

31日、業界によると、サムスンディスプレイは、6月QD-OLED TVとモニター完成品の試作品を作って、サムスン電子とソニー、中国のセットメーカーなどの潜在的な顧客に送り、9月に市場の評価を行う計画である。

 

6月、サムスンディスプレイが生産するプロトタイプは完成品の形QD-OLED TVとモニターだ。そのプロトタイプのパネルは、QD-OLED用に投資した「Q1」の生産ラインで作る。顧客の承認を受ければ、市場出荷の量産まで見込まれる。

 

サムスンディスプレイは、すでにサムスン電子にQD-OLEDパネルの試作品を送っているが、これ完成品ではなく、パネルの品質を把握するためのサンプルである。昨年のCESで、サムスンディスプレイが登場したQD-OLED TVパネルは、従来の大型液晶(LCD)の生産ラインで製作した。

 

サムスンディスプレイは、9月の市場評価を進めてサムスン電子などQD-OLED製品を総合評価した後、QDディスプレイ追加投資の方向を決定するものと思われる。市場の評価は限られた場所にQD-OLED TVを展示して、消費者の反応を把握する形で進行する可能性がある。

 

当初「OLED TVは発売しない」としたサムスン電子VD事業部は、条件付きでQD-OLED採用の可能性を検討するという立場に変化したことが分かった。ある関係者は、「過去には、サムスン電子VD事業部がQD-OLEDに興味がなかったが、最近では、条件付きだがQD-OLED適用に向かっている状態」と明らかにした。

 

サムスン電子VD事業部がサムスンのディスプレイに掲げた条件は、QD-OLED生産歩留まりの確保と生産能力の拡大だ。昨年7月から製造装置を設置したQ1ラインの歩留まりはまだ高くないことが分かった。

 

また、サムスン電子がQD-OLED TVを発売しプレミアムTV市場を攻略するには、現在、サムスンディスプレイQ1ラインの生産能力である8.5世代の基準月3万(30K)枚では製造能力不足である。大型OLEDパネルを量産しているLGディスプレーの生産能力は8.5世代ゲーム坡州と中国広州事業所を加え月に140Kである。サムスンディスプレイQ1生産能力(月30K)の5倍の水準である。

 

サムスンディスプレイは、現在の歩留まりを向上させるために力を集中している。サムスンディスプレイが歩留まりを高めQD-OLEDの品質を安定的に確保する必要があり、その後に1兆ウォン台の追加投資を決定することができる。第1四半期を過ぎて、会社の雰囲気も緊迫している。

 

今年の1月の時点では、サムスンディスプレイがサムスン電子向けに試作したQD-OLEDサンプルは輝度(明るさ)が低かったことが分かった。輝度を上げると、OLEDからの光と色を出す有機物層の寿命に悪影響を与える。別の関係者は、「1月に続き、来月にもQD-OLEDサンプルを送る予定だ」と伝えた。

 

一方、サムスン電子VD事業部は、サムスンディスプレイに8Kミニ発光ダイオード(LED)TV等に必要なLCDパネルの追加の生産を要請したことが分かった。サムスン電子VD事業部は、今年のミニLED TVである「ネオQLED」シリーズでプレミアム市場を攻略している。サムスン電子は、これらのプレミアム製品に必要なLCDパネルを中華圏メーカーから受けているが、品質がサムスンのディスプレイよりも劣るというのが業界の評価である。