Visionox、赤字が連続し、地方政府に持分買取を要請


2023/04/10 The Elec

 

中国のパネルメーカーのVisionoxが地方政府に持分買取を要請した。資金難に苦しんできたビジョンオックスの持分買い取り要請で中国ディスプレイ産業構造調整が本格化するという観測と、すぐに人為的構造調整はないだろうという観測が交錯している。

 

7日、業界によるとVisionoxが中国地方政府に持分買取を要請したという。ビジョンオックスは去る2021年第1四半期から昨年第3四半期まで7つの四半期で連続赤字を記録して資金難に苦しんできた。昨年第4四半期も赤字が確実で、今年第1四半期も赤字と推定されている。

 

Visionoxは液晶(LCD)ラインは保有せずに、中小型有機EL(OLED)ラインのみで稼働してきた。昆山のV1 5.5世代リジッド・フレキシブルOLEDの混用ライン、固安のV2と合肥のV3第6世代フレキシブルOLEDラインなどが主なラインである。

 

VisionoxはリジッドOLEDよりフレキシブルOLED生産に注力しているが、全体のラインの稼働率が低いことが分かった。業界の関係者は「昨年1月と2月のVisionoxのライン稼働率は35%未満で、業界平均である65%の半分の水準にとどまった」と明らかにした。ビジョンオックスのスマートフォンOLEDはHonor(Huaweiから分社)、スマートウォッチOLEDはシャオミが主要顧客会社だ。

 

Visionoxは、深センでV4 IT用第8世代OLEDライン投資を計画中だが、資金調達が用意できないことが分かった。当初、計画通りなら今年第4四半期でのIT用第8世代OLED製造装置の発注が目標だが、実際に執行される可能性は低い。BOEやCSOTなど競合他社がLCD市場が好況だった去る2021年に巨額な規模の黒字を上げた時もビジョンオックスはLCDラインがなく利益を得ることができなかった。

 

Visionoxが地方政府に持分買い入れを要請し、業界の一部では中国ディスプレイ業界の構造調整が本格化するとの見通しが出ている。すでに昨年末、業界ではBOEがVisionoxの工場の一部を買収するという推定が広がった。Visionoxは中国の中小型OLED市場でBOEに続き、CSOTと2~3位をめぐって競争してきた。

 

反面、Visionoxが地方政府に持分買い入れを要請していることが2年続いていることで、すぐに構造的変化が現れる可能性は低いという反論も出ている。また他の業界関係者は「Visionoxの昆山のV1と固安のV2、合肥のV3ラインなどはすべて地方政府が持分を保有しており、ビジョンオックスが1~2年は耐久力がある」と明らかにした。

 

現在、中国のパネルメーカーは自国政府の支援を背景に、過剰投資を行った結果、LCDはもちろんOLEDラインの稼働率が低い。ここ数カ月間、大型LCD価格が底をうってから少しずつ上昇しているのは、中国のパネルメーカーがライン稼働率を一斉に下げたためである。同時に、中国のパネルメーカーは、製造原価の高いフレキシブルOLEDを韓国のリジッドOLEDよりも安い価格で販売している。このため、サムスンディスプレイのスマートフォン用リジッドOLED出荷量が減っている。