SKマテリアルズ、先行の特許に耐える「青色OLED発光材料」の製造


2020.11.24 コリア・エレクトロニクス

 

韓国のSKマテリアルズが日本のJNCと合弁会社を設立し、材料事業に進出する。JNCは⻘色OLED材料の重要技術を保有メーカーで、JNCの特許が合弁会社に譲渡される。これまで日本に依存した、韓国のOLED材料産業に重大な転換点になる。

 

SKマテリアルズは、JNCと合弁法人の「SK JNC」(仮称)を設立する。SKマテリアルズJNCは、それぞれ取締役会を開き、合弁会社設立案件を可決した。持ち株比率は、SK 51%、JNCが49%である。本社は韓国に作る。初期資本金は450億〜500億ウォンである。本社だけでなく、研究開発(R&D)センターと生産工場も韓国内に構築する。

 

SKマテリアルズは、この合弁会社で材料事業に進出する。これまでに半導体やディスプレイ用特殊ガスを供給してきたSKが、OLED材料市場に初めて参入する。すでに国内メジャーOLEDディスプレイメーカーとの供給契約も確定したと伝えられた。SKのOLED材料事業への進出は、その成長性からである。

 

市場調査会社DSCCによると、OLED用材料市場は、昨年の9億5100万ドルから、2024年には26億8800万ドルに増え、年平均23%の成長が予想される。

 

合弁会社は、韓国材料産業に重要なマイルストーンになると予想される。⻘色材料のコア特許を保有していることが知られているJNC技術が合弁会社で譲渡されるからである。OLED材料のうち、⻘色の開発は最も難しい。赤と緑は、高効率燐光材料が使用されている一方で、⻘色は効率の低い蛍光材料が使用されている。⻘色材料は出光興産の特許障壁を高く、韓国企業は市場参入すらできずにいる。サムスンとLGディスプレーが世界OLEDディスプレイ市場をリードしながらも、出光興産、保土ヶ谷化学などから⻘色OLED材料を購入するしかない。

 

SKは⻘色OLED技術を確保しつつ内製化と国産化を推進できるようになった。特にJNCは、次世代素材として注目されるホウ素系のコア特許を保有し、将来の市場を先取りする重要な基盤を用意したとみられる。合弁会社は、SKマテリアルズが保有する生産能力と営業ネットワーク、JNCから譲渡を受けた特許をもとに、市場を攻略する計画である。⻘色OLED材料をはじめと赤と緑の発光層材料も開発する一方、電子輸送層(ETL)、正孔輸送層(HTL)などOLED材料すべての分野で事業を拡大する方針である。