SKハイニックス-LGディスプレイ-メタ、マイクロOLED製造で協力


2023.02.13 The Elec

 

SKハイニックスとLGディスプレイがメタ(旧Facebook)と協力し、マイクロ有機EL(OLED)の開発や量産に乗り出す。マイクロOLEDは拡張現実(XR)機器の重要なディスプレイ技術である。今回の「三社の同盟」は、メタが半導体設計および機器のセッティングを担当し、LGディスプレイはマイクロOLEDを開発し、SKハイニックスが設計図をもとにウエハを生産する仕組みだ。SKハイニックス、LGディスプレイ、メタにつながる「三角同盟」が及ぼす波及効果にIT業界が注目している。 

 

13日、業界によるとSKハイニックスはLGディスプレイとマイクロOLEDの開発および生産協業を決定し、最近に関連契約を締結したと確認された。 

 

昨年からSKハイニックスとLGディスプレイがマイクロOLED開発のための協力を進めているというニュースは少しずつ知られてきた。しかし、これら二つの企業がコラボレーションを通じて作った製品を最終的にどの企業に納品するかは明らかにされていない。

 

The Elecの取材で、SKハイニックスとLGディスプレイのマイクロLEDコラボレーションの背景には、グローバルXR機器の先頭の企業であるメタが関与して協力を主導していることが分かった。2023年初めに、SKハイニックスとLGディスプレイ契約が正式に締結され、SKハイニックスとメタも事実上契約が最終段階だと伝えられる。 

 

ヘッドセット型のXR機器に搭載されるマイクロOLEDは、拡張現実を実現できる次世代ディスプレイである。シリコンで作られた半導体ウェーハ上に赤・青・緑(RGB)OLEDピクセルを蒸着して製造する。ガラス基板より薄く、多くの画素を搭載できる。一般的なスマートフォン用のディスプレイが数百PPI(ピクセル密度)を実現するのに対し、マイクロOLEDは数千PPIの解像度を有する。小さくて微細な回路であるので、通常のOLEDのディスプレイに使用されるガラス基板の代わりに、半導体材料であるシリコンウェハ基板が必要である。 

 

メタは数年前から独自の半導体開発のために設計人材を継続的に保有してきた。ただし、メタはファブレスの形で独自の半導体生産工場を保有していない。LGディスプレイも半導体生産設備が無い。2021年からLGディスプレイとマイクロOLED関連協力を進めていたメタが半導体メーカーであるSKハイニックスと手を組んだ理由はこのためである。 

 

3社はそれぞれの強みをもとに緊密な協力を進める予定である。XR機器を直接に生産するメタは、3社の協力過程でウエハの設計と回路を、全体的な機器の仕様設定過程で提供すると思われる。チップ生産はSKハイニックスが責任を負う。マイクロOLEDウエハ上にOLEDを蒸着する段階から最終の完成までの過程はLGディスプレイが引き受けると予想される。 

 

今回の協力過程で注目されるのはSKハイニックスの役割である。SKハイニックス本社が位置する利川キャンパスには計3つのDRAM工場がある。M10とM14、M16である。2021年2月に稼働したM16ラインは、最新の工程でDRAMを生産している。2015年から稼働したM14は、DRAMとNANDフラッシュの生産を主力とする。 

 

マイクロOLEDのためのウェーハ生産を検討しているラインはM14の隣に位置するM10ラインである。2000年代初頭から稼働したM10は利川キャンパスで最も古いラインである。もともとDRAMのみ生産したが、2019年以降ラインの一部でCIS製品を生産している。 

 

M10ラインは12インチウェーハ基準月10万枚規模で生産できる。製品開発が順調に進めば、2025~2026年からここでは月3万枚規模で関連チップを生産する計画である。M10ライン内で、28や45ナノメートル(nm・10億分の1m)の古い製造設備を活用するものと見られる。 

 

SKハイニックス内部では過去CMOSイメージセンサー(CIS)商品企画チーム主導でこの事業を主導している。最近SKハイニックスはCIS事業関連開発組織を中心に大々的な組織改編を断行した。CISの場合、高付加価値製品の開発にのみ焦点を合わせ、残りの人材は今回の協力と同じ新規事業に活用するという多角化の方針である。 

 

 

一部では今回の協力を置いて「SKハイニックスが12インチファウンドリ事業に進出するのではないか」という解釈も出ている。だが、業界専門家らは「ファウンドリ事業は生産過程で発生するすべての問題と責任をファウンドリ企業が受け持つサービスを全面的に提供することである。」とし「今回の協力はメタなどが主導する点で既存ファウンドリと事業モデルが異なる」と分析する。 

 

ただし、これまでDRAMとNANDフラッシュなどに依存していたSKハイニックスが既存の主力製品から離れて、新しい形態の新事業を始めたということは明らかだ。もし今回の協力が成功した場合は、SKハイニックスが本格的に12インチファウンドリ市場に進出するきっかけになる可能性も排除できない。 

 

一方、市場調査会社のカウンターポイントサーチによると、XRヘッドセット市場の規模は2021年の1100万台水準から2025年には1億500万台に拡大すると見込まれる。また、他の市場調査会社のオムディアも2028年のXR機器出荷量を1億3900万台と予想した。今から3~5年が過ぎた後は、XR機器市場が本格的に開花するという観測である。SKハイニックスがM10ラインを通じて関連チップを量産する時点と概ね一致する。