OLEDからQNEDまで、製造に適用されるインクジェット装置


6/9 UBIリサーチ

 

Panasonicが開発した55インチSol OLED(solution process OLED)はPanasonicが直接に製作したインクジェット装置を用いて製作されており、この技術は現在JOLEDのOLED生産に適用されている。インクジェットヘッドはKonica-Minolta製と予想される。

 

TV用大型OLEDパネルの製造に使用されるインクジェット装置はTELとMitsubishi、 Torayで生産されている。 TV用にはSol OLEDはまだ事業化がされていないが、CSOTは10.5世代Sol OLED生産を検討している。Sol OLEDが最も適用しやすい分野で予想されるアプリケーションは20〜30インチクラスのモニターである。

 

モバイル機器用OLED生産に使われているFMM(fine metal mask)技術は、生産歩留まりを考慮したとき17インチ程度のパネル製作が限界として知られている。したがってFMMを使用しないSol OLEDの製造技術は基板を分割せずに20〜30インチの高解像度パネルを作ることができる優れた技術である。 

 

最近のインクジェット技術が再び脚光を浴び始めたのは、サムスンディスプレイが来年から生産を計画しているQD-OLEDにインクジェット装置が使用されるからである。

 

QD層を形成する際にインクジェット装置が使用される。8.5世代以上でインクジェット装置が量産工程に使用される最初の事例である。QD-OLEDはQD層の下でカラーフィルタ層がある。QDを介して変換された色の純度を高めるためにカラーフィルターが使用される。QD-OLEDのカラーフィルタの製造にフォト工程を使用されているが、今後生産費を削減するためにはインクジェット技術の導入が必要になると考えられる。 

 

サムスンディスプレイはQD-OLEDに続いてQNED(quantum dot nanorod LED)を次世代ディスプレイ技術として開発中である。QNED製造工程でQD層と画素の製造にインクジェット装置が使用される。Nanorod LEDを画素領域に定量的に投下するためには高性能のインクジェット装置が不可欠である。

 

CRTからLCDとOLEDにディスプレイ時代が変わることによって、ディスプレイ製造技術も変化が多い。インクジェット技術はこれまでのディスプレイの製造に使用が難しかったが、QD-OLEDとQNEDに接続されている次世代ディスプレイによってインクジェット技術を活用範囲は徐々に拡大していく予定である。