Merckのインクジェット用の青色発光材料の寿命、前年比で65%向上と発表


2021年11月12日 UBIリサーチ

 

11月4日にオンラインで行われた「Display Insight 2021」で、Merckのグローバルアプリケーション責任者であるJoachim Kaiser氏が「Our OLED solutions – livilux®」で発表を行った。Kaiserはlivilux製品のOLED材料の中のインク発光材料についてを発表し、「インクジェット印刷は大型ディスプレイ向けのサイズの拡張性とRGB並列ピクセルレイアウトを達成できる唯一の技術」と述べた。

 

Kaiserは、「インクジェット印刷で作るデバイスの性能を最大限に高めるには、最先端のOLED材料と各アプリケーションに最適化されたインク配合、デバイススタック構造の徹底的な理解と最適化が必要だ」と強調し、「Merckではこれまでの蒸着用材料の開発経験があるので、インク発光材料の性能向上でもその経験を生かせる。」と発表した。

 

 

Merckは昨年と今年発表した性能を比較し、発光効率(cd/A)は赤が前年比46%、緑が10%増加し、青は変化がなかった。外部量子効率(EQE)は、赤が20%増加した34.1%、緑が5%増加した28%であり、青は発光効率と同様に変化がなかった。寿命部分では緑が20%、青は65%に大きく改善された。赤の寿命はLT95基準で4,000時間であり(昨年の赤の寿命はLT95基準で8,300時間)、現在は効率改善で減少した寿命を増加させるために最適化中である。

 

Kaiserは、「Merckでは、青色OLED効率の改善、新しい種類のエミッタ電極、RGBのサイドバイサイド印刷技術など、OLEDパネル設計の問題点に対するソリューションを提示するために絶えず努力している」と強調した。