2017.09.10 ET News
LGディスプレーが第8世代の大型有機EL(OLED)の生産量の拡大に伴い、売上と収益を同時に拡大することができるものと予想される。
ソニーとパナソニックからの注文量が昨年より急増したうえ、中国のTVメーカーまでプレミアム製品でOLED TV発売に関心を注いでいるからだ。LGディスプレーは収益性を最大化するために、高い販売価格を維持するという戦略だ。世界で唯一の大型OLEDパネルサプライヤの地位を最大限に活用するというものである。
10日、業界によると、LGディスプレーは第8世代OLEDを製造するE4ラインの2段階(Ph2)の投資分を第3四半期から稼働した。第3四半期に最初のテスト操業を経て、第4四半期から本格的にフル稼働体制に突入するとみられる。 LGディスプレーはフル稼働を控えて、日本、中国、ヨーロッパなどTVセットメーカーと供給量の交渉に突入した。交渉はセットメーカーよりもパネルを供給しているLGディスプレーが主導権を持っていると伝えられた。過去にはLG電子がOLED TV市場拡大のために苦労したが、今年はスピーカーをディスプレイパネルに統合したソニー「ブラビアA1E」が好評受けて、市場の雰囲気がはっきりと変わった。
東芝がIFA 2017で公開したOLED TV(写真=東芝)
ソニーに続き、東芝もOLED TVの販売にかなり積極的なことが分かった。ソニーが最初の契約量よりも倍のレベルを要求し、東芝も相当レベルの量を要求したことが分かった。ソニーと東芝は最近、ドイツIFAでそれぞれOLED TVを披露した。
既存のOLED TV陣営の中国企業もパネルの確保に意欲を見せている。LGディスプレーが、これまでの高解像度のOLED TVで強みで掲げたが、今年からスピーカーをパネルに統合したクリスタルサウンドオールレッド(C SO)、壁に貼る壁紙などのデザインの革新型の技術を前面に出して、プレミアムTV戦略に対応しているからである。
上半期は、中国のTVメーカーのほとんどが業績不振を経験したので、プレミアムTV市場に打ち出すべき製品を確保するのがより一層重要になっているようだ。 業界のある関係者は、「中国のTVセットメーカではプレミアムテレビ市場で打ち出すべき製品がないので、消費者の需要を起こさなかったことも上半期成績不振の要因として作用した」と分析した。量子ドット(QD )TVは、北米・欧州でサムスンとの競争で押されてミッドレンジ市場にとどまったのである。 LG電子に加え、ソニーがOLED TV市場の拡大に本格合流し、来年のOLED TVの競争に参加しようとするセットメーカの競争が激しくなった。 競合他社のないLGディスプレーは顧客の選択の幅が広くなった。
E4ラインのステップ2の投資分フル稼働を開始すると、月の生産量は、従来のE4ステップ1の月産2万6000枚を加え、来年上半期まで約5万枚以上の生産能力を備えることになる。E4の 3ステップの投資分を執行し、来年の第3四半期の稼働で、来年末までに約7万枚規模の生産能力を確保するものとられる。 生産能力が増加しても、65インチの需要が増え、パネル完成品の供給量の増加の幅が大きくならないことも予想される。第8世代マザーガラス1枚から55インチは6枚を製造することができるが、65インチは3枚の製造にとどまる。生産能力が今年第2四半期より、来年第2四半期に約二倍に増加するが、実際のテレビの生産量は、2倍にはならないだろう。
LGディスプレーは昨年のOLED TVパネルが90万台で、今年は170万台の市場を形成すると予想した。来年の目標出荷台数は250万台である。
状況がこのままだと各TVメーカーと供給交渉を行っているLGディスプレーは交渉で余裕がある。追加の投資分の稼動で、一時的に生産コストが増加するが、全体的に歩留まりが上がり、生産能力が増えたことを勘案すれば、パネルの価格を下げて提供することができる。しかい、まだ供給量が限定され、市場の反応が熱いので、あえて価格を下げる理由がない。高価格政策を継続できる交渉に有利な立場をLGディスプレーが握った。 ある関係者は、「中国のTVメーカーが今年のプレミアム戦略に失敗したので、OLED TV事業の拡大策に傾いている」とし「世界の中で唯一のOLED TVパネルを供給しているLGディスプレーが有利に供給交渉を導くことができる」と分析した。