LGディスプレイのストレッチャブルディスプレイ開発の現状と今後の計画


2022年11月14日 UBIリサーチ Weekly Display Industry Analysis Report

 

Stretchable displayは、サイズが固定されている既存のディスプレイに比べて伸びる・ねじる・曲げることが可能で、人体や物のさまざまな曲面にディスプレイを取り付けることができる特徴がある。ブラウン管とVFD、PDP、LCDなどはディスプレイがガラスで構成されており、ディスプ変形することは不可能だったが、OLEDはプラスチック基板が使用可能であるためストレッチ化に大きな期待が寄せられていた。 Stretchable displayを作製するには配線と画素が伸長可能である必要がある。

 

OLEDでは配線を伸長することができる様々な構造が提案されているが、ディスプレイの形状に変化が生じるとOLED画素にも変形が生じる。このような場合には、電子と正孔が移動する経路の断絶が起き、実用化には限界があった。

 

このOLEDのStretchable displayとしての問題点を克服できる新しい技術が最近多く報告されている。 SID2022において、AUOはフラット面から高さを4 mm以上に伸ばすことができるstretchable micro LEDを展示した。

 

Micro LEDの基板をプラスチックにすると、ストレッチ時の配線は伸びるが、画素には変形がなく、信号伝達に問題がない。

 

2022年11月10日、韓国(平昌)で開催された2022ディスプレイ総括ワークショップにて、LGディスプレイは「プリフォームデザインが可能な20%延伸ストレッチャブルディスプレイ」をテーマに発表した。

 

LGディスプレイは、micro LEDとして1年次に13インチ72ppi、2年次に13インチモノカラーまで開発した。 3年次には100ppiまで解像度を向上させ、12インチディスプレイを14インチまで伸縮させた。 伸び率は20%だ。

 

ストレッチャブルディスプレイは、SLVと韓国光技術院から提供された40umサイズのマイクロLEDが光源として使用され、マイクロLED転写装置とモジュール装置7機種の国産化が進められている。

 

LGディスプレイは、パートナー企業との連携を通じてファッションとモビリティ、家電・インテリア、商業・広告、ゲーム・教育、ヘルス・スポーツなど6分野で合計120以上のアイテムを導出したと述べた。

 

デザイン特許も活発に出願されており、LGディスプレイが2件、梨花女子大学(韓国)が7件、淑明女子大学(韓国)が3件を出

願している。

 

その中でも、消防隊員や軍事用などの特殊服や、スマートウォレットやバッグなどのラグジュアリー製品、センターインフォメーションディスプレイ(CID)やポップアップディスプレイなどの車載用、ゲームなどの教育分野を主要製品に選定したと説明した。

 

続いて、LGディスプレイは動画を通じていくつかのコンセプトのほか、実際の消防用に製作されたストレッチャブルディスプレイを公開した。

 

今後、技術の最適化により、フェーズ1で開発されたパネルで試製品を開発し、製品化技術を検証することをフェーズ2での課題目標としている。