2018年05月11日 the bell
LGディスプレー(LGD)での関心事だった、世界最大のディスプレイ工場の坡州P10生産品目を10.5世代OLED(有機EL)に確定した。LGDは本来P10を10.5世代LCD(液晶)で準備してきたが、先月に戦略を急転回した。LCD業況が今年初めから思ったより速く悪化すると予想し、LCDでは事業性がないと判断した。
LGDは10.5世代OLED投資規模を従来のLCD計画より50%拡大することにした。既往の戦略を変えながら、より積極的に投資することを決めた。このため、今年の下半期に追加で予算を編成する計画だ。
11日、ディスプレイ業界によると、LGDは先月末、P10生産品目を10.5世代OLEDに確定した。LGDは先月25日、業績発表IRを控えての決定を下した。まだ報告義務がある投資予算規模を編成するステップはなくて、IRでこれを公開しなかった。
P10は、本来は10.5世代LCDに準備されていた。製造装置の発注まで行った状態だった。戦略を急旋回したのは、LCDの業況悪化が思ったよりも深刻だったからである。LGDは、今年第1四半期の1000億ウォンに近い営業赤字を記録した2〜4四半期の見通しも明るくない。
LGDは10.5世代OLEDラインの生産規模を月4万5000枚(45K)に設定した。これまでに準備されていた10.5世代LCDラインの生産規模の月3万枚(30K)より50%拡大した規模だ。これによる製造装置の発注調整も進んでいる。
LGDは、LCD発注装置のうち、OLED用にも互換性があるバックプレーン(backplane)機器などは、発注状態を維持することにした。一方、純粋なLCD製造装置は発注をキャンセルする予定である。発注をキャンセルしたパートナーを対象に、違約金の支払い交渉を進めている。
蒸着装置など、純粋なOLED用製造装置は、今年の下半期に新規発注をする予定である。一定規模以上の新規投資を決定した場合は、公示義務が発生するため、LGDが10.5世代OLED投資を策定する時期も、この時になると思われる。
10.5世代OLED投資の決定は、リスクを伴う選択である。10.5世代OLEDは、大型OLEDパネルメーカのLGDも初めての試みで、未知の領域である。量産歩留まりを確保するのに、どれぐらい時間がかかる予測するのは難しい。
資金の問題も大きい。設備を構築するのに巨額の投資が必要で、ゴールデン歩留まりを確保するまでの費用支出がさらに必要である。P10の初期製品をLCDに定めたのも、有機ELではビジネスリスクが大きかったからである。
一方、10.5世代OLEDを早期商用化に成功すると、グローバルパネル市場で圧倒的な競争力を確保することができる。BOEなど中国メーカーが10.5世代LCDラインでLGDを脅かしているがOLED量産性はまだ確保していない。LGDは第8世代ではOLEDゴールデン歩留まりを超え、10.5世代に挑戦している。中国のメーカーより2段階は量産で上回ることができる。
電子業界の関係者は、「中国BOEが今年から10.5世代LCDパネルを大規模に量産する計画を明らかにするなど、LCD業況は継続的に悪化するだろう」とし「LGDは苦心の末にリスクを犯して、LCDを経由せずに直接OLEDに10.5世代のビジネスをすることにした」と述べた。