LGDディスプレイ、65インチ8K 有機ELパネルの開発で、輝度不足の課題に直面


2018-07-23 the bell

 

LGディスプレー(LGD)が大型パネル市場の主力サイズで浮上している65インチのOLEDパネルを8Kで量産す開発で、困難を経験している。現在OLEDの製造方法である背面発光(Bottom emission)構造で88インチ8K開発には成功したが、65インチでは輝度低下の問題を克服できずにいる。一部の情報では、来年の量産プロジェクトを暫定的に中止したようである。

 

20日、複数のディスプレイ業界関係者は、LGDが8K 65インチOLEDパネルを来年に量産しようとした計画を、この技術課題で中断したものと見られる。4Kから8Kに解像度を上げながら、開口率の減少に起因する輝度の低下の問題を克服できないことが分かった。

 

LGDは88インチの超大型パネルについては8Kでの開発に成功した状態だ。今年初め、世界家電展示会CES2018で、その製品を公開した。専門家は、超大型のパネルは開口率の減少の問題が少ないため、LGDが88インチに、まず8K導入が可能だったと判断した。むしろ55インチや65インチのような中大型パネルでは画素密度が高く、8K適用が難しいという。

 

8K(7680×4320)では、画面を構成する画素(ピクセル)の数が3300万個で、4K(3840×216)の画素数830万個に比べ約4倍に増える。このために8Kは画質が4Kよりもはるかに微細で鮮明になるが、ピクセルが小さくなるために開口率が減少し、輝度が低くなる問題が生じる。開口率は、ピクセルの全面積で光が透過することができる面積比を示す値である。

 

LGDは8K 88インチパネル公開当時は、OLEDは自ら光を出す自発光特性で、8Kでも開口率の減少に起因する輝度の低下の問題がないと述べたが、その後に技術的な難関が生じた。この技術的難題はLGDが採用している背面発光(Bottom emission)構造の問題である。LGDは、そのブログ(ディスクエア)で背面発光構造と前面発光構造の開口率の差の問題を指摘している。

 

背面発光と全面発光構造: 背面発光構造(A)と前面発光構造(B)の比較(写真:LGディスプレーブログ) 

背面発光構造は、OLEDから出る光がTFT基板によって一部遮断されて、ピクセルとして100%が使えない。すなわち、ピクセルサイズに応じて、開口率が変わる。ブログではLGDが背面発光構造の開口率の欠点を克服するために、前面発光(Top emission)構造を開発していると伝えた。前面発光はTFT基板の位置の影響を無くして、光を100%通過させることができる。ただし、この方式も、低抵抗な透明電極材料を見つける必要があるなどの問題があり、実用化の段階に達しなかった。

LGDが開発に成功した88インチ8Kは背面発光構造であるが、画素数が増えても画面も大きくなったので、開口率の減少の影響が相対的に少ない。一方、現在のプレミアムテレビの主力製品群である55インチや65インチでは状況が違う。背面発光構造では画素数が4Kから8Kに増える場合、輝度の低下の問題が無視できないほど大きくなる。

LGDは背面発光構造の88インチ8Kは、来年の夏から量産を開始する予定である。しかし、77インチなどより小さなインチ数の製品の量産は未定である。

LGDの関係者は「開発中の製品につきましては、進捗状況について明らかにすることは難しい」と語った。前面発光構造の技術導入するかどうかについては、「まだ検討はしていない」と答えた。