BOE、サムスンディスプレイ続きVR・AR用の「超小型OLED」を生産


2018.08.08 ET News

 

中国のBOEがサムスンのディスプレイに続き、バーチャルリアリティ(VR)・拡張現実(AR)の超小型有機発光ダイオード(OLED)を生産する。まだ試験生産水準だが、技術力を補強して、今後の成長市場に先行して対応する。 

 

8日、業界によると、BOEは、雲南省昆明に位置する超小型マイクロOLED生産ラインの投資を行っている。昨年8月に雲南省政府と共同で11億5000万元(約200億円)を投資して「昆明BOEディスプレイテクノロジー」という別法人を作った。この法人がVR・AR用の高解像度マイクロOLEDを開発し、今年から生産する方針を決めた。

 

BOEは昆明に生産ラインを投資している。スパッタ、プラズマ化学気相蒸着(CVD)、自動光学検査(AOI)、塗布・現像、原子層堆積(ALD)装置などを発注し、各部門サプライヤを確定した。製造装置の設置、試運転などのスケジュールを勘案すれば、実際の試験生産が可能な時期は来年初め以降になるとみられる。 

 

BOEは0.5インチ、0.8インチなどの小型OLEDを生産する計画である。年間の目標生産量は100万枚である。このプロジェクトでは、AR・VRと超小型液晶(LCD)関連駆動チップ技術を保有している米国企業Kopinも参加する。この企業は、スマートメガネなどを生産し、世界ウェアラブル機器市場で技術力を保有している。マイクロOLED技術を保有している中国企業OLiGHTEK も参加する。 

 

BOEは低解像度と高解像度の超小型OLEDをすべて製造する計画である。計画には、SVGA、WVGAだけでなく、0.8インチW UX GA解像度パネルも含まれた。

 

超小型マイクロOLEDは、スマートフォンやOLED TVパネルより技術難度が高い。1インチ前後の小さなサイズに多数の画素数を実装しなければなので、ピクセルサイズがはるかに小さいからだ。 

 

VR・AR画面を視聴するときめまいを感じず、実際のような生々しさと没入感を体験するには、解像度と駆動速度などがより改善されなければならない。現在のVR用OLEDは500ppiレベルだが、2000ppiレベルに向上すれば、これらの問題を解決することができる。ディスプレイのピクセルの間隔が網のように見えるスクリーンドア現象(SDE)も解決しなければならない課題に挙げられる。 

 

サムスンディスプレイも少量のみ生産している。サムスンディスプレイは、今年開催されたSIDで1200ppi 2.43インチマイクロOLEDを実証するなど、着実に技術を改善している。 

 

LGディスプレーもSIDでホワイトOLED(WOLED)技術を適用して、Googleと共同開発したVRパネルを発表した。1443ppiとUHDの解像度を実現した。

 

業界では、BOEが、実際にマイクロOLEDをどのよう市場に供給するか注目している。スマートフォン用OLEDのように、サムスンディスプレイをBOEがどれくらい早く追撃するか目を引く。中国のアーケードゲーム市場でVRが徐々に人気を得ており、この分野のスタートアップも多く、内需を中心に技術開発と量産経験を蓄積すると予想されている。