2019.12.15 ET News
中国のディスプレイメーカーBOEが、2019年にインクジェット印刷方式の4K解像度55インチの有機EL(OLED)TVパネルを発表したのに続き、最近に8K解像度OLEDパネルを公開した。サムスンディスプレイは、次世代技術である量子ドット(QD)ディスプレイにインクジェット印刷工程を導入することにした後、この技術への関心が大きくなり、8K解像度の競争も激しくなり、BOEも技術力を誇示したものと解釈される。
15日、中国現地メディアによると、BOEは最近、北京APECセンターで「BOEイノベーションパートナーカンファレンス(IPC)」を開催して、インクジェットプリンティング方式で製作した55インチサイズ8K OLED TVパネルを公開した。BOEは、毎年の年末にIPCを開催し、様々な最新技術やソリューションを紹介する。
BOEは今年5月、米国で開かれた国際情報ディスプレイ学会(SID)ディスプレイウィーク期間中にインクジェット印刷を適用した55インチ4K解像度OLED TVパネルを展示したことがある。今回は、同じ面積で8Kの解像度を実現した。
BOEは55インチ8K OLEDパネルが160ppi(インチあたりのピクセル数)、最高輝度400ニット、一般の明るさ160ニットと述べた。コントラスト比は10万対1、DCI-P3色域の95%を達成した。
今回の8K OLEDパネルの試作品は、合肥の研究開発のパイロットラインで製作した。
BOEはOLED TVパネル市場に参入するための技術をツー-トラックに準備している。インクジェット印刷はもちろん、LGディスプレーが採用しているホワイトOLED(WOLED)ベースの蒸着方式も研究開発している。BOEの内部で両方の技術開発チームが競争しており、どちらの技術を先に商用化するかどうかはまだ決定されていない。
BOEはSID 2019で公開した4K 55インチOLEDパネルの試作品は、インクジェット印刷でも比較的鮮明な画質と深い黒の色を実装したという評価を受けた。しかし、かなりの不良画素がそのまま露出してまだ技術完成度が高くなく印象で、量産レベルには及ばないという評価を受けた。
同じ55インチで8Kの解像度を実装するには、55インチ4Kよりピクセル数が多くなる。同じ面積でより多くのピクセル数を実装する必要があるため、ピクセルサイズは小さくなって、ピクセル間のギャップも狭くなる。これを実現するには、インク滴をより細かくして正確にドロップする必要があり、その結果で正しく画素を表現することができる。実際の完成度はまだ確認するのは難しいが、BOEとしては従来のインクジェット印刷技術を一段階アップグレードしたと公表したわけである。
画素形成用のインクジェット印刷プロセスは、まだ量産段階まで適用されなかったが、韓国が最も進んでいると評価される。LGディスプレーは、大面積TVがないモニターなどのIT製品にインクジェット印刷を適用する案で、研究開発している。従来と同じ解像度をより小さな基板に実装することが難しいからである。
サムスンディスプレイも次世代大面積の技術で量産準備を開始した量子ドット(QD)ディスプレイにインクジェット印刷工程を適用する予定である。既存の液晶表示装置(LCD)ベースのQLED TVはQDフィルムを適用したが、QDディスプレイは、インクジェットでQDを印刷する方法を適用する予定である。
業界では、世界のディスプレイ市場で8Kの競争が熱くなったので、BOEが次世代工程技術力、8K OLED技術力を誇示するために、今回の試作品を公開したと説明した。すぐに量産できるレベルの完成度は無いが、既存の量産目標を計画通り実施するか、より早める可能性を見せてくれたという評価も出ている。BOEは来る2024年からインクジェット印刷方式OLEDパネルを量産する方針である。