BOE「アップル専用」B11の生産ラインの歩留まりが悪い


2020.06.23 THEELEC

 

中国のBOEが「アップル専用」のラインと中国のスマートフォン用のラインの両方で、iPhoneの有機EL(OLED)パネル配達を狙う。 

 

23日、業界によると、BOEは、四川省綿陽B11の生産ラインと成都B7生産ラインの両方で、iPhone OLEDパネル出荷を計画していることが分かった。

 

B11は、アップル向けに知られているラインである。B7はHuawei向けなど中国のスマートフォンメーカーOLEDパネルを重点的に納品する。両方で6世代フレキシブルOLEDパネルを生産する。B7は2017年に、B11は2019年から量産稼働した。

 

BOEは当初はB11をアップル専用ラインに定め、2020年下半期に出荷されるiPhoneの12シリーズ用OLEDパネル出荷を目標にした。しかし、B11工場生産収率が20%前後で低迷して、最終的にアップルの品質承認を受けることは出来なかった。

 

一方、B7の生産収率は70〜80%ラインである。B7はBOEの最初のフレキシブルOLED生産ラインであり、歩留まりは比較的安定した。ここではHuaweiなど、中国のスマートフォンメーカーのパネルを生産してきた。しかし、最近は米国からの制裁で中国のスマートフォンは、Googleのアンドロイド(OS)を搭載できず、中国市場への依存度が高まっている。B7は、主要顧客であるHuaweiのパネルの注文が減少し、新しい市場が必要な状況である。比較的安定した歩留まりと中国国内からの注文の減少のために、B7はB11とともにiPhoneのOLEDパネルの製造を狙うものと見られる。

 

B11とB7の生産ラインは、社長の国籍や人員構成も異なり熾烈な競争が予想される。B11工場社長は台湾人、B7工場社長は中国人である。生産ラインの立ち上げもB11は台湾系技術者が主導し、B7はサムスンディスプレイ出身の技術者が多く参加した。2つの工場が互いに競合の関係であり、連携も良くないことが分かっている。

 

B11とB7は、早ければ2020年下半期に、iPhone OLEDパネルの出荷承認をしようとする見通しだ。後半にAppleから品質承認を受ければ、iPhone 12シリーズの修理(改装)用のOLEDパネル出荷が可能である。今回も品質承認に失敗した場合、2021年のiPhoneの新製品用パネル出荷を狙わなければならない。

 

現在BOEは、重慶に6世代フレキシブルOLEDパネルのB12のラインを建設している。6世代フレキシブルOLEDパネルの生産ラインは、B7とB11に続き3ライン目である。B12が2021年に稼動すると、BOEの第6世代フレキシブルOLED生産能力は月14万4000枚である。3つの工場がそれぞれ月4万8000枚ずつ生産することができる。

 

アップルは、サムスンディスプレイへの依存度を下げるために、LGディスプレーのほか、BOEにもOLEDパネル供給の機会を提供している。価格競争力を前面に出すBOEは、iPhone OLEDパネルのサプライチェーンに参加すると、Appleは、パネル単価を下げることができる。