2023.12.11 The Elec
Samsung DisplayがAppleの折りたたみ製品に対応する能力に焦点を当て、XRデバイス用のマイクロディスプレイチームを独立させるなど、組織改革を行いました。これを骨子として、数年後に予想されるフォルダブルIT製品とXRデバイス向けのマイクロディスプレイなど、次世代技術を先取りする意図が解釈されています。
業界関係者によると、Samsung Displayは最近、Appleの折りたたみに対応する能力を強化するためのAチームの機能強化や、小型ディスプレイ事業部とIT事業チーム間のリソース再配置、マイクロディスプレイチームの強化などを骨子とした組織改革を実施したとされています。
今回の組織改革は、Samsung DisplayのCEOであるChoi Joo-sun氏の任命の中で、将来の成長に焦点を当てたものとされています。Samsung Displayは現在、Samsung Electronics GalaxyやAppleのiPhoneなどのスマートフォン有機EL(OLED)分野で競合他社に大きく先行しているものの、新たな成長エンジンを見つける必要がある状況です。
スマートフォン用OLEDや折りたたみパネルを生産する小型ディスプレイ事業部は、A開発チーム内で折りたたみ製品の開発や折りたたみパネルの開発などの機能を編成したと報じられています。この部署では、折りたたみの主流化や差別化技術の確保などに焦点を当てる計画です。
Samsung Displayは2019年にリリースされたSamsung Electronicsの初代フォルダブルフォンから、今年のSamsung Electronicsの第5世代フォルダブルフォンまで、フォルダブルフォンパネルの独占供給を行い、この市場をリードしています。今回A開発チーム内にフォルダブル製品・パネルの開発機能を編成することで、競合他社の市場参入を阻止する取り組みが予想されます。Samsung DisplayとLG Displayはすでに20.25インチなどのAppleのフォルダブル製品プロジェクトを進行中です。
大型ディスプレイ事業部は現在、実際の組織である戦略マーケティング部を、チーム単位の組織である戦略マーケティングチームに移行します。営業やマーケティング、商品企画といった間の協力を拡大し、運営の効率化を期待しています。
ディスプレイ研究所は、先行技術の確保やプロジェクト移管の成功率を高めることなど、事業への貢献度を高める予定です。拡張現実(XR)デバイス市場に対応するためのマイクロディスプレイチームは、今回の組織改革により、研究所の所属からCEO直轄の組織に移りました。マイクロディスプレイチームは事業化前段階の研究開発を行うと予想されます。昨年末、Samsung Displayはマイクロディスプレイの開発のために「Mプロジェクト」を開始しました。
Samsung Displayはシリコン基板に有機ELを積層するOLEDoS部門で、ホワイト(W)-OLEDにカラーフィルタ(CF)を適用する「WOLED+CF」方式や、赤(R)、緑(G)、青(B)のサブピクセルを同じ層に隣接積層する「RGB」方式のOLEDoSを順次開発する計画です。シリコン基板にLEDを形成するLEDoSの開発も長期課題です。
この組織改革に伴う人事移動では、本社の企画チームリーダーであったChoi Kwon-young副社長がA事業チームリーダーに就任しました。A事業チームはAppleビジネスを担当します。本社の企画チームで事業企画グループリーダーを務めていたHeo Cheol副社長が後任の本社の企画チームリーダーとなりました。
チーム単位の戦略マーケティングチームリーダーはJung Yong-wook常務が務めます。Jung Yong-wook常務は、小型マーケティングチームリーダーを兼任していました。SDV(ベトナム)法人長であったYu Jung-geun副社長が本社品質部長に就任しました。大型技術革新チームリーダーであったPark Jun-young副社長は小型企画チームリーダーに異動しました。Mプロジェクトでは最高技術責任者(CTO)出身のKim Sung-chul社長がプロジェクトリーダー、Choi Jae-beom副社長がチームリーダーを務めます。彼らはOLEDoSおよびLEDoS技術の開発と事業化を牽引する予定です。
一方、新しい代表となったLG DisplayのJung Cheol-dong社長は、戦略顧客(SC)事業部を新設するなど組織改革を実施しました。既存の小型事業部から分かれたSC事業部は、Appleビジネスを担当します。SC事業部長には、小型事業総括であったChoi Hyun-cheol常務が就任しました。LG Displayの事業部構成は、従来の大型事業部、小型事業部、オート事業グループから大型事業部、中型事業部、SC事業部、オート事業グループに変更されました。