○2023年6月19日 UBIリサーチのWeekly Display Industry Analysis Report
6月6日に公開されたAppleのMR機器であるVision Proは、現代人のライフスタイル変化を予見している。
ARとVRについてはすでに10年前から知られてきた。 VR機器は画面没入感を強化するために外部光を遮断するためゴーグル型であり、AR機器は現実環境と仮想画面を重ねて使用するため外部環境が見えるように設計されている。
AR機器に使用されるマイクロディスプレイと光学系としては、太陽光のある外部では視認性が不十分なので、カメラで受信した信号を内部ディスプレイに送出して実際の外部と接続されているかのように使用する機器もある。この方式はVST(video seethrough)と呼ばれる。一方、透明なガラスやプラスチックに仮想画面を投影して実際の環境と重ねて使用する方式はOST(optical see-through)と呼ばれる。
今回公開されたVision Proは、ゴーグル型のVRにカメラを通じて外部環境と仮想現実を見ることができるようになっているVST方式のARが合わさったMR(mixed reality)製品だ。公開したVision Proは、第2のデジタルコンバージェンス革命をもたらす製品であり、モバイルコンピューティングから空間コンピューティング時代への転換をもたらす。 Vision Proにはキーボードを仮想空間に配置し、文字を入力できるように手の位置を感知するセンサーが機器外部下端に、頭位置を確認するセンサーが前面部にある。また、頭と手の3次元位置を認識する3D mappingセンサーがある。この機能により、空間でもコンピューティングが可能となっている。
Vision Proはゴーグル型のVRタイプだが、前面部に高解像度カメラが付いているVST方式のARである。したがって、この機器はMRに分類される。
ARは、機器を装着した人が現実世界を見ることが必要であり、同時に周囲の人も機器を装着した人の視線を見ることができなければならない。 Vision Proのユニークな特徴の1つは、ペルソナ機能である。機器内部にあるカメラとアイトラッキングセンサー、そしてAIで作られた画面認識技術を組み合わせて、ゴーグルの外部にはLG Displayのcurved OLEDに機器ユーザーの顔と目の位置を表示することにより、周囲の人との会話が可能となる。
Appleが提供するVision Proの内部には ソニー製の1.4インチ(3,800×3,000)、 3,400ppiのmicro-OLEDが2枚入っており、駆動走査率は90Hzとなっており、パンケーキ光学系を採用している。 Micro-OLEDの背面にはコンピューティング機能と温度、騒音を管理するM2chip、ならびにリアルタイムセンサーから入力された画像情報を12msごとに処理するR1chipが内蔵されている。