2024年12月23日 ET News
米国下院中国共産党特別委員会が、中国BOE製の有機ELディスプレイ(OLED)の輸入禁止を求める声明を発表しました。その理由として、サムスンディスプレイの特許を侵害したことが挙げられています。この決定が韓国のディスプレイ業界に好影響を与える可能性が注目されています。
BOE製品の輸入禁止を求める要請
12月18日(現地時間)、米国下院中国共産党特別委員会のジョン・ムレナール委員長は、米国国際貿易委員会(USITC)に書簡を送り、「米国の国家安全保障のため、BOEによる特許侵害ディスプレイの輸入を禁止する決定を下すべきだ」と訴えました。
委員会は、「BOEのディスプレイ輸入を許可し続けると、米国が軍事応用分野での高度技術を中国に依存するリスクが高まり、中国が米国の知的財産を引き続き盗用しても問題ないという危険なメッセージを送ることになる」と警告しています。
また、「BOEおよび他の中国企業が製造するディスプレイが米国市場に参入するのを阻止する広範な救済措置を講じるべきだ」と求めました。
背景にある特許侵害の争い
今回の声明は、USITCがBOEによるサムスンディスプレイの特許侵害を認めながらも、米国産業への影響が大きくないとして輸入禁止措置を下さなかった予備判定を受けたものです。
サムスンディスプレイは2022年12月、米国内の流通業者が特許を侵害したOLEDパネルを販売しているとして、USITCに輸入禁止を提訴しました。対象製品にはBOEのパネルも含まれており、BOEは2023年3月から調査に応じています。
2023年11月、USITCはBOEがサムスンディスプレイの「'578」「'803」「'599」特許を侵害していると予備判定しましたが、輸入禁止の最終決定には至っていません。
広がる影響と韓国企業への期待
今回の特許紛争が進展すれば、中国BOEは米国市場、特にAppleへのOLED供給が制限される可能性があります。これにより、サムスンディスプレイやLGディスプレイなど韓国企業に有利な状況が生まれるとの見方もあります。
延世大学の金現在教授は、「BOEに対する輸入禁止命令が出れば、中国企業が米国への大量供給を通じて技術レベルを引き上げることを阻止でき、韓国企業にとってプラスになる」と分析しています。