2024-11-09 The Elec
中国の天馬(ティエンマ)が今年もサムスン電子にスマートフォン用の有機EL(OLED)を少量納品するという分析が出ています。市場調査会社のミズホは、先月下旬に発表した「ディスプレイ産業と家電製品における2024年以降の需要とサプライチェーン展望」レポートでこのように述べました。
今年、サムスン電子のスマートフォン用OLEDの需要量は1億6320万台と推定されています。サムスンディスプレイが1億5900万台(97%)を供給し、ティエンマが100万台程度の供給を担っています。BOEの供給はありません。
ミズホのレポートには記載がありませんが、ティエンマが供給するOLEDは、サムスン電子が中国メーカーと共同で生産するJDM(合弁生産)スマートフォンに採用されているとみられます。ティエンマは過去にサムスン電子の低価格スマートフォン「ギャラクシーMシリーズ」にOLEDを納品した実績があります。
BOEがサムスン電子に納品したスマートフォン用OLEDの数量は、2022年の110万台から2023年には60万台に減少し、今年は供給がありません。BOEは最近、サムスン電子やサムスンディスプレイと米国および中国で特許紛争を起こしており、サムスン電子との関係が悪化しました。また、サムスン電子向けのTV用液晶ディスプレイ(LCD)パネルの供給量も減少しました。
今年のApple iPhone用OLEDの供給量は、2億2700万台と予想されています。パネルメーカー別では、サムスンディスプレイが1億2000万台、LGディスプレイが6200万台、BOEが4500万台の順です。
昨年のiPhone用OLEDの供給量は2億4900万台で、メーカー別ではサムスンディスプレイが1億5100万台、LGディスプレイが5500万台、BOEが4300万台でした。今年のメーカー別予測は、サムスンディスプレイの供給量(1億5100万台→1億2000万台)が減少し、LGディスプレイ(5500万台→6200万台)とBOE(4300万台→4500万台)の供給量が増加する見込みです。
中国のスマートフォンメーカーでは、HuaweiのOLED需要が大幅に増加しています。Huaweiのスマートフォン用OLED供給量は、昨年の3370万台から今年は6100万台へと81%増加する見通しです。Huaweiは2019年の米国政府による制裁でスマートフォン事業が大きく縮小しましたが、昨年から回復基調にあります。米国の制裁前は、Appleやサムスン電子と並んで世界のプレミアムスマートフォン市場で競争していました。
今年のHuawei向けOLEDの供給量は、BOEが3100万台で最多、次いでビジョンオックスが2200万台、CSOTが600万台、エバーディスプレイが200万台の順です。
Xiaomiの今年のスマートフォン用OLED供給量は6300万台で、昨年の6050万台からやや増加しています。Xiaomi向けのOLED供給量は、CSOTが2800万台で最多、次にサムスンディスプレイが1800万台、ティエンマが1300万台、ビジョンオックスが400万台の順です。
OPPO、Vivo、Honorの今年のスマートフォン用OLED供給量は、それぞれ4950万台、4450万台、4150万台と推定され、いずれも昨年より増加しています。
今年の世界全体のスマートフォン用OLED出荷量は、7億5320万台と予測されています。昨年の6億5330万台に比べて、約1億台増加しています。昨年はティエンマなどの低価格攻勢により、スマートフォン市場におけるOLEDの普及率が上昇しました。
メーカー別供給量では、サムスンディスプレイが3億2700万台で最も多く、納入先はサムスン電子、Apple、Xiaomi、OPPO、Vivo、Google、Sonyなどです。LGディスプレイの供給量6200万台はすべてApple向けです。
中国のパネルメーカーの供給量は、BOEが1億3700万台、ビジョンオックスが8000万台、CSOTが6270万台、ティエンマが5700万台、エバーディスプレイが2200万台で、合計すると3億5870万台となり、今年の世界スマートフォン用OLED出荷量予測7億5320万台の48%を占めています。