「リフレッシュレートの限界を突破」サムスンディスプレイ、世界初の500Hzパネルを開発


2024年11月24日 ET News

 

サムスンディスプレイは、世界最速の画面転換速度を持つ有機発光ダイオード(OLED)パネルの開発を進めており、発売が目前に迫っています。同社は、500HzのリフレッシュレートをサポートするOLEDパネルの開発を最終段階で進めているとされています。

 

リフレッシュレートは、1秒間に何回画面を更新できるかを示す指標です。500Hzは1秒間に500枚の画像を表示できることを意味し、この数値が高いほど映像がより滑らかに表現されます。

 

500Hz QD-OLEDパネルの詳細

業界関係者によると、サムスンディスプレイは500Hzのリフレッシュレートを実現するQHD(2560x1440)解像度の27インチ量子ドット(QD)-OLEDパネルを開発しています。この開発は最終段階にあり、2024年上半期の発売を目指して主要モニターメーカーと商品化を協議中です。このパネルは、画面転換が速いゲーム向けのゲーミングモニターに搭載されると予想されています。

 

500Hzを実現したOLEDパネルは世界初です。これまで商用化されたOLEDパネルの最高リフレッシュレートは480Hzで、LGディスプレイが2024年8月に量産を開始した27インチパネルがその例です。サムスンディスプレイはこれを上回るリフレッシュレートを達成した点で注目されています。

 

また、この性能は液晶ディスプレイ(LCD)パネルと比較しても優れています。500HzのリフレッシュレートをサポートするLCDは既に登場していますが、その解像度はFHD(1920x1080)にとどまっています。一方、サムスンディスプレイは高リフレッシュレートと高解像度を同時に実現するという高難度の課題を克服しました。

 

ゲーミング市場への戦略

サムスンディスプレイは、新型パネルを武器に、グローバルなゲーミング市場の攻略に乗り出すとみられています。ゲームユーザーを中心に、LCDよりもOLEDを選好する傾向が強まっているためです。PCやコンソールゲームのグラフィック性能が進化する中で、リフレッシュレート、応答速度、画質、鮮明度においてOLEDが優れていることから需要が増加しています。

 

市場の成長予測

市場調査会社Omdiaによると、世界のモニター用パネル市場は2023年から2028年まで年間平均成長率1%にとどまる一方、モニター用OLED市場の規模は出荷量ベースで同期間に年間平均成長率34%が予測されています。これはLCDからOLEDへの急速な転換が進んでいることを示しています。

 

サムスンディスプレイのモニター用QD-OLEDパネル。(写真=サムスンディスプレイ)
サムスンディスプレイのモニター用QD-OLEDパネル。(写真=サムスンディスプレイ)