サムスン電子のXRヘッドセット、1.3インチで3800PPI級の高解像度に


2025-03-05  The Elec

 

Apple Vision Proの「3391PPI」より高精細…「プロジェクトムハン」、4月に部品量産開始

サムスン電子が初の拡張現実(XR)ヘッドセット「プロジェクトムハン(Project Muhan)」に採用するOLEDoS(OLED on Silicon)は、1.3インチ、約3800PPI(Pixels Per Inch)になる計画であることが、5日に明らかになった。

 

OLEDoSは、シリコン基板上にマイクロOLEDを蒸着するディスプレイ技術で、「プロジェクトムハン」向けのOLEDoSはソニーが製造する。

 

4月から部品量産開始、年間出荷台数は約10万台と予測

業界関係者によると、サムスン電子の部品協力会社は4月から「プロジェクトムハン」の部品量産を開始する予定であり、2025年後半の発売が期待されている。年間の出荷台数は約10万台と推定される。

 

「プロジェクトムハン」に搭載されるOLEDoSの3800PPI級の解像度は、Apple Vision Proの3391PPI(1.42インチ)を上回る。Apple Vision Proは2023年6月に発表され、2024年初頭に発売された。なお、Apple Vision Pro向けのOLEDoSもソニーが製造している。

 

サムスン電子が3800PPI級の「プロジェクトムハン」を準備する理由は、Apple Vision Proより発売が遅れたにもかかわらず、スペックまで劣ってしまうわけにはいかないと判断したためとみられる。

 

サムスン電子は2023年6月のApple Vision Proの発表後、当初計画していたXRデバイスの発売を延期した経緯がある。今回のモデルでは、ハードウェアのスペックと製造技術の優位性を強調する狙いがあるようだ。サムスン電子はまずハイエンドXRヘッドセットを投入し、その後、普及モデルまでラインナップを拡大する可能性もある。

 

ソニーの「4K OLEDoS」と類似スペックか

ソニーは2023年に1.3インチサイズの「4K(3552×3840)」OLEDoSのサンプルを公開した。このサンプルの当時の価格は15万円(約145万ウォン)だった。サムスン電子向けのOLEDoSも、これと同等のスペックになると予想される。

 

サムスン電子のXRヘッドセット「プロジェクトムゲン」(資料=サムスン電子)
サムスン電子のXRヘッドセット「プロジェクトムゲン」(資料=サムスン電子)
ソニーは2023年、1.3インチサイズの「4K(3552×3840)」OLEDoSのサンプルを公開した。このサンプルの価格は15万円(約145万ウォン)だった。(資料=ソニー)
ソニーは2023年、1.3インチサイズの「4K(3552×3840)」OLEDoSのサンプルを公開した。このサンプルの価格は15万円(約145万ウォン)だった。(資料=ソニー)

 

Apple Vision Proの苦戦、普及型XRヘッドセット「G-VR」を開発中

Appleは、Vision Proの発売後に苦戦を強いられ、現在普及型XRヘッドセット「G-VR」を開発している。約500万ウォン(約50万円)の高価なOLEDoS搭載Vision Proでは、XRデバイスの普及を牽引するのが難しいと判断したためだ。Apple Vision Proの2024年の出荷台数は数十万台にとどまった。さらに、コンテンツ不足も課題となった。

 

Appleは、ガラス基板上にマイクロOLEDを蒸着するディスプレイを普及型XRヘッドセットに採用予定だ。サムスンディスプレイやJDI(ジャパンディスプレイ)と協力し、2インチ中盤、1500PPI以上のディスプレイの開発を進めているとされる。

 

Apple、2インチ中盤・1500PPI以上のマイクロOLEDを開発中

Appleは2023年上半期に、サムスンディスプレイなどに対し、2.0~2.1インチ、1700PPIクラスのガラス基板型マイクロOLEDの開発に関する資料提供を依頼していた。また、JDIはAppleに1500PPIクラスのサンプルを提供した。

 

その後、画面サイズは2インチ中盤に拡大し、画素密度も微調整されている。画面が大きくなれば、両目が見渡せる視野が広がり、十分な画素密度があれば没入感も向上する。市場調査会社Omdiaは、Appleの普及型XRヘッドセットの発売時期を2027年と予測している。

 

MetaもOLEDoS搭載XRヘッドセットを検討中

Metaも、OLEDoSを搭載したXRヘッドセットの発売を検討している。現在議論されているOLEDoSの仕様は、0.8~0.9インチ、2500PPIクラスであり、このOLEDoSは中国のSeeYA(シーヤ)とSIDTEK(シードテック)が開発している。

 

MetaのOLEDoSディスプレイ(0.8~0.9インチ)は、Apple Vision Proの1.42インチより小型だ。1.42インチのOLEDoSを1枚製造できる面積で、0.8~0.9インチのOLEDoSを最大4枚作ることが可能である。小型化によって製造コストが下がり、生産効率も向上する。

 

Meta、コストパフォーマンス重視の戦略を展開へ

Metaは、この小型OLEDoSを活用し、コストパフォーマンスを前面に押し出す戦略を採ると予想される。Metaの発売時期の目標は2026年頃とされる。しかし、IT業界において、ビッグテックの中でもMetaの信頼度は低いとされており、市場の反応が注目される。