サムスン電子、来年のGalaxy S26 UltraにCoE技術を採用


2025年1月8日 The Elec

 

偏光板を省き消費電力を低減する技術…バータイプスマートフォンでは初の適用

 

サムスン電子は2026年に発売予定のGalaxy S26 Ultraに、消費電力を削減し光透過率を向上させる「CoE(Color Filter on Encapsulation)」技術を初めてバータイプスマートフォンに適用する計画であることが、1月8日に明らかになりました。

 

CoE技術とは

CoEは、従来の有機EL(OLED)で使用されていた偏光板をカラーフィルターで置き換え、さらに一般的なPDL(Pixel Define Layer・画素定義膜)をブラックPDLに変更する技術です。この技術により、以下の効果が得られます:

 

パネルの薄型化:偏光板を取り除くことでパネルが薄くなります。

光透過率の向上:光透過率が高まるため、消費電力を削減可能。

色表現の向上:偏光板の代わりにカラーフィルターを使用することで、より鮮明な色を表現できます。

反射防止:ブラックPDLはパネル内部での光反射を防ぎます。ブラックPDLは、オレンジ系物質を使用していた従来のPDLに代わり、黒系の光感応性ポリイミド(PSPI)を使用して作られています。

 

CoE技術の適用歴

この技術は、サムスン電子が2021年に発売したフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Fold 3」で初めて導入され、その後も「Galaxy Z Fold 6」などに採用されました。2026年には、Galaxy S26 Ultraに適用することで、バータイプスマートフォンにもCoE技術が広がると予想されています。

 

業界動向と競争

高性能ゲーム対応のための消費電力削減や、スマートフォンの薄型化は、最近の重要なトレンドとして注目されています。競合するAppleは、2025年にiPhone 17シリーズで「Plus」モデルを「Air」モデルに置き換える計画です。

 

サムスンディスプレイは、サムスン電子向けのCoE方式OLEDを製造しており、この技術をシャオミ、Vivo、Googleなどのフォルダブルフォンにも供給しています。一方、中国のBOEやCSOTも自国メーカー向けにCoE技術を用いたOLEDを供給しています。

 

また、パネルメーカー各社の最終目標は、Appleへの供給であると言われています。

 

偏光板の課題とブラックPDLの利点

従来のOLEDでは、偏光板は外部光の反射を防ぎディスプレイの視認性を向上させる役割を果たしていましたが、偏光板が光を通す際に50%以上の明るさが失われるため、光効率が低下していました。このため、明るさを向上させるには消費電力を増やす必要があり、それが製品寿命の短縮につながっていました。ブラックPDLの採用により、こうした問題が解決されると期待されています。

 

サムスン電子が新たに導入するCoE技術は、バータイプスマートフォンの次世代OLEDディスプレイ市場においても、技術的なリーダーシップを確立する重要な一手となるでしょう。

 

デクサンネオルックスのブラックPDL説明(左)、およびサムスンディスプレイのPDL説明(右) (資料:デクサンネオルックス、サムスンディスプレイ)
デクサンネオルックスのブラックPDL説明(左)、およびサムスンディスプレイのPDL説明(右) (資料:デクサンネオルックス、サムスンディスプレイ)