サムスンディスプレイ、フォルダブルフォンのバックプレート素材にガラス採用を検討


2024年11月29日 The Elec

 

サムスンディスプレイがフォルダブルフォンのバックプレート(支持部)素材としてガラスを採用する案を検討中である。従来のバックプレート素材と比較して、ガラスの利点には軽量性、低コスト、供給安定性が挙げられる。特に供給安定性の重要性は、2024年1月に予定される米トランプ政権第2期の発足によってさらに増している。

 

ガラス採用の背景

業界によれば、サムスンディスプレイは複数の部品協力会社とともにバックプレート素材をガラスに変更するプロジェクトを開始した。

 

バックプレートはフォルダブルディスプレイパネルとヒンジの間で支持の役割を果たす部品であり、折りたたみ部分にエッチング工程などが追加されるため、通常のスマートフォン用パネルより加工が難しい。この部品は業界では「内蔵ヒンジ」として知られている。

 

サムスン電子が2024年に発売した「Galaxy Z Flip 6」や「Z Fold 6」、「Z Fold SE」では、それぞれ異なる素材のバックプレートが採用された。Z Flip 6は金属のSUS(ステンレス鋼)、Z Fold 6はプラスチックのCFRP(炭素繊維強化プラスチック)、Z Fold SEは金属のチタンを使用している。特に、Z Fold SEではサムスンのフォルダブルフォンとして初めてチタンが採用された。

 

ガラス採用の背景には軽量性と低価格性に加え、素材の供給安定性が挙げられる。Z Fold SEで使用されたチタン素材はすべて中国から調達しており、これはサムスンディスプレイにとってリスク要因となっている。トランプ政権の発足により米中貿易摩擦が拡大する可能性が高く、中国依存度の高い素材の削減が求められている。

 

課題と見通し

ガラス製バックプレートがフォルダブルフォンのパネルに量産適用される時期は未定である。このプロジェクトは開始間もないため、信頼性検査を完了するには時間がかかる。部品業界の関係者は「少なくとも2026年以降の適用が期待される」と述べている。

 

サムスンディスプレイはまた、デジタイザーなしでSペン(スタイラスペン)を認識できる技術の開発にも取り組んでいる。デジタイザーはSペンの位置を格子状に把握するために使用される柔軟な回路基板で、これがなくなればフォルダブルフォンの薄型化が可能になる。最近発売されたGalaxy Z Fold SEではデジタイザーを省略し、閉じたときの厚みを12.1mmから10.6mmに削減している。

 

Galaxy Z Foldシリーズは、2021年モデルのZ Fold 3から今年のZ Fold 6までCFRPをバックプレート素材として使用している。これは、金属素材であるSUSがデジタイザーと干渉を起こすためである。Z Foldシリーズは2020年モデルのZ Fold 2まではSUSを採用していた。一方、Z Flipシリーズでは初代モデル(2020年)から現在のZ Flip 6まで一貫してSUSを使用している。