サムスンディスプレイ、ガラス基板のマイクロOLED生産へ移行


2024年12月10日 Display Daily

 

サムスンディスプレイは、忠清南道(チュンチョンナムド)の牙山(アサン)キャンパスにおいて、ガラス基板を用いたマイクロOLEDディスプレイの試験生産ラインを設立する計画を発表しました。この新しい生産ラインは、現在5.5世代の生産設備(1300×1500mmのガラス基板用)を稼働しているA2工場を再活用する予定です。この大判基板は、有機材料を蒸着するために650×750mmの4枚の小型パネルに分割されます。A2工場は、従来はリジッドOLEDの生産に使用されていましたが、マイクロOLEDの量産を可能にするための改修が行われ、サムスンディスプレイがディスプレイ業界のリーダーとしての地位をさらに強化することを目指します。

 

マイクロOLED技術はこれまで、シリコンウエハーを基板として使用する「シリコン基板OLED」または「OLEDoS(OLED on Silicon)」として知られるプロセスに依存してきました。しかし、その高コストが普及の障壁となっていました。特に、ソニー製のマイクロOLEDパネルはVision Proの総コストの約50%を占めており、高い小売価格や販売不振の原因として批判を受けています。

 

ガラス基板への移行には課題もあります。シリコン基板のOLEDパネルは、半導体製造技術の進歩により、ピクセル密度(PPI)において優れた解像度を実現しています。一方、ガラス基板で同等の解像度を維持するには、技術革新が必要です。

 

これに対応するため、サムスンディスプレイは既存の5.5世代の蒸着装置を改造し、さらに高度な高解像度テスト装置を導入する計画です。同社は業界パートナーと連携してこれらの改良を進めており、2025年末までに設備注文を最終化する予定です。