韓国のプリント基板メーカーのBH、売上高の新記録更新へ


2025年3月12日 ET News

 

PCB(プリント基板)メーカーであるBHは、今年も過去最高の業績更新に挑む。昨年、創業以来の最高売上を達成したが、今年もさらに記録を更新する見込みだ。

 

業界関係者によると、BHの2025年予想売上高は1兆8700億ウォン に達するとされている。証券業界のコンセンサス予測によると、これは前年より6.6%の成長 となる見込みだ。

 

この予測が実現すれば、BHは再び過去最高の売上記録を更新することになる。同社は昨年、1兆7544億ウォンの売上を記録し、2022年以来2年ぶりに最高記録を更新したが、今年のコンセンサス予測はこれをさらに上回るものとなっている。

 

営業利益は昨年871億ウォンを記録し、前年より2.67%増加した。ただし、2022年の過去最高(1313億ウォン)には届かなかった。今年の営業利益が新たな記録を更新するかどうかも注目ポイントだ。

 

同社の関係者は、昨年の過去最高売上について、「モバイル事業と車載事業における安定的な新規受注と製品供給の成果」と説明した。

 

BHの成長に注目が集まる理由はiPhone 17

今年、BHの成長が期待される最大の要因はiPhone 17 だ。AppleはiPhone 17の全モデルに省電力ディスプレイ技術(LTPO OLED)を採用する計画を立てている。従来は「Pro」と「Pro Max」モデルの2種類にのみ採用していたが、今年からは4モデル全てに拡大する。

 

しかし、このLTPO OLEDの製造は非常に難しい。高度な技術を要するため、中国のディスプレイメーカーはAppleの注文を受けられず、Samsung DisplayとLG Displayの韓国企業2社がiPhone 17向けのLTPO OLEDを全量供給することが明らかになっている。

 

BHはSamsung DisplayにFPCB(フレキシブルプリント基板)を供給している企業であるため、LTPO OLEDの生産量増加の恩恵を受けると分析されている。

 

スマートフォンのフォームファクター変化も成長機会に

さらに、今年から本格化しているスマートフォンのフォームファクターの変化 もBHにとって大きな成長機会となっている。スマートフォンメーカー各社は、スリムなデザインの新製品を続々と発表し、画面を2回以上折りたためる「マルチフォルダブルフォン」の商用化を進めている。こうした新しいスマートフォンやディスプレイの登場により、新たな部品の需要が生まれるため、BHの技術が活かされると期待されている。

 

実際にBHは、より薄型のスマートフォンを実現するために、新しいFPCB製造技術の研究開発を進めている。この技術は、ディスプレイの性能を向上させつつ、超薄型かつ多層構造を採用することで、よりシンプルな構造を実現することを目的としている。すでに高多層FPCBの開発は完了しており、顧客への納品と認証手続きを進めていると伝えられている。

 

大画面向けFPCBの開発も進行中

加えて、BHは大画面製品に特化したFPCBの開発も進めている。

これは、従来のスマートフォンパネル(6.3インチ)の約4倍の10インチディスプレイに対応できる技術であり、タブレットやマルチフォルダブルフォン向けに採用されると予想されている。