LGディスプレイが、フォルダブルパネル向けに三菱ケミカルなどのブラックPDLをテスト


2024年8月27日 The Elec

 

LGディスプレイが第2四半期に三菱ケミカルなどからブラックPDL(Pixel Define Layer-画素定義膜)サンプルを購入し、テスト中であることが27日分かった。ブラックPDLは、フォルダブルパネルを薄くする際に使用する「CoE」(Color Filter on Encapsulation)技術の重要材料だ。

 

CoEは、既存の有機EL(OLED)の偏光板をカラーフィルターに置き換え、一般PDLをブラックPDLに変えた技術だ。偏光板を外せば、パネルが薄くなり、光透過率が高くなり、消費電力を下げることができる。

 

偏光板の代わりにカラーフィルターを使用すると、色をより鮮明に表現し、消費電力も下げることができる。偏光板は、パネル外部から入ってくる光が画素(ピクセル)間の電極に当たって反射するのを防ぎ、視認性を高める。しかし、不透明なプラスチックシートである偏光板を光が通過すると、明るさが50%以上減少し、光効率が低下する。この時、明るさを上げるにはより多くの消費電力が必要であり、明るさの拡大は製品寿命の減少につながる。

 

CoE形成のプロセスは、OLEDを水分・酸素から保護する封止(TFE)の上にカラーフィルター(CF)を低温で印刷する。

 

ブラックPDLはCoEの重要材料である。ブラックPDLは、赤(R)緑(G)青(B)OLED間の隔壁の既存のPDLを置き換えた材料である。オレンジ系物質であるPDLの原料である光感応性ポリイミド(PSPI)を黒色系に置き換えた物質がブラックPDLである。オレンジ系物質をそのまま使用すると、光が反射してコントラスト比に影響を与える可能性がある。

 

CoEでカラーフィルターとブラックPDLは、それぞれパネルの外側と内側から光が反射するのを防ぐ。このようなCoEを適用してディスプレイの視認性を高め、消費電力を下げるためには、ブラックPDL技術を確保する必要がある。

 

LGディスプレイがブラックPDLをテストするのは、折り畳み式パネルを準備するためとみられる。三菱が作るブラックPDLの生産歩留まりは20~30%水準と言われている。

 

現在、LGディスプレイは三菱以外にも複数の協力会社とCoE関連プロジェクトを進行中だ。LGディスプレイの潜在的な顧客社がフォルダブル製品にCoEを適用するかどうかはまだ決定されていない。

 

サムスンディスプレイは、2021年に発売されたサムスン電子のフォルダブルフォン「ギャラクシーZフォールド3」から今年のZフォールド6までZフォールドシリーズOLEDにCoEを量産適用している。これに必要なブラックPDLはDSネオラックスが製造している。

 

サムスン電子ギャラクシーZフォールド6 (出典=サムスン電子)
サムスン電子ギャラクシーZフォールド6 (出典=サムスン電子)

 

サムスン電子のギャラクシーZフォールド3以降、小米とVivo、グーグルなどもフォルダブルフォンにCoEを使用している。中国のフォルダブルフォンパネルを作るBOEとCSOTなどが使用するブラックPDLは、東レと三菱などが供給していると推定される。

 

折り畳み式スマホのフォルダブルパネルは画面サイズが大きいため、バッテリーをはじめとする消費電力の問題が発生する。最近、中国のスマートフォンメーカーが折りたたんだ時の厚さが9~10mm前後のブック型フォルダーフォンを発売し、製品を薄くする競争が拡大している。また、偏光板は薄いフィルムを複数枚圧縮して作った部品であるため、何度も折りたたんだり広げたりしなければならない折り畳み式パネルでは耐久性の問題が発生する可能性がある。

 

DSネオラックスのブラックPDLの説明(左)とSamsung DisplayのPDLの説明(右) (出典=DS Neolux、Samsung Display)
DSネオラックスのブラックPDLの説明(左)とSamsung DisplayのPDLの説明(右) (出典=DS Neolux、Samsung Display)