eスポーツ用モニターOLED市場が40%の大幅成長へ


2025年02月19日 WitDisplay

 

調査機関のTrendForce(集邦科技)は本日、調査結果を発表しました。2024年の世界におけるeスポーツ液晶モニター(リフレッシュレート144Hz以上)のパネル出荷台数は3,242万枚で、前年比12%増加しましたが、2025年の出荷台数の伸び率は年5%に減速する見込みです。

 

TrendForceの評価によれば、明確な市場刺激要因の欠如や、主流のeスポーツ液晶モニター製品におけるパネルメーカーの収益性の課題により、2025年の出荷台数の成長は年5%程度にとどまり、約3,400万枚と予測されています。一方、有機EL(OLED)を使用したeスポーツモニター用パネルの成長率は減速傾向にあるものの、依然として年40%増加する見込みです。

 

TrendForceは、2024年の世界的なeスポーツ液晶モニターパネル出荷の成長要因は主に中国のパネルメーカーにあると指摘しています。メーカー各社は収益改善のため、eスポーツ市場に積極的に参入し、生産規模を拡大しています。また、2024年下半期に発売されるゲーム「黒神話:悟空」が中国市場におけるeスポーツ液晶モニターの追加需要をもたらし、HKCの出荷量は前年比約50%増、CSOT(華星光電)は約40%増、BOE(京東方)も20%以上の増加を達成すると見込まれています。

 

2025年の展望:eスポーツ液晶モニターパネルの成長鈍化予測

TrendForce(集邦科技)は、2025年におけるeスポーツ液晶モニターパネルの出荷成長率が鈍化すると予測しています。

その理由として、以下の点が挙げられます。

 

まず、2023年と2024年には、杭州アジア競技大会のeスポーツ競技や、ゲーム「黒神話:悟空」の発売が中国市場のeスポーツ需要を牽引しましたが、2025年にはこれに匹敵する需要刺激となる話題がグローバル市場で見られていないことです。次に、リフレッシュレート165Hzの主流製品は数が多いものの、パネル価格競争が激化しており、パネルメーカーが十分な利益を得るのが難しい状況です。このため、メーカー各社は徐々に165Hz製品の生産を減少させ始めています。

 

TrendForceは、2025年にはHKC(恵科)以外のパネルメーカーが出荷を慎重に抑える傾向になると予測しています。

 

2025年の展望:OLED eスポーツモニターの市場動向

新興の有機EL(OLED)eスポーツモニターパネルについては、2024年の世界出荷年成長率が132%に達するとTrendForceは指摘しています。27インチおよび31.5インチの主流OLED eスポーツ製品が2023年末に量産を開始したばかりで、2024年は市場がまだ初期段階にあります。さらに、Samsung Display(サムスンディスプレイ)が価格を積極的に引き下げたことで、出荷量が大幅に増加しました。

 

TrendForceは、2025年にはより多くのブランドがOLED eスポーツモニターの開発にリソースを投入すると見ていますが、パネルメーカーはOLEDモニターの高級イメージを維持し、利益率を確保するために、価格引き下げのペースを緩めると予想しています。その結果、2025年のOLED eスポーツモニターパネルの出荷年成長率は40%に減少し、安定した成長段階に入ると考えられています。