CSOT、広州LCD工場の部品供給多様化計画…LXセミコンの今後は?


2025年3月21日  The Elec

 

CSOTがLGディスプレイから引き継ぐ中国・広州の液晶ディスプレイ(LCD)工場の部品供給網を多様化する計画であることが、21日に明らかになった。CSOTは4月1日から広州LCD工場の運営権を引き継ぎ、同日より直接運営する予定である。

 

これまでLGディスプレイは、広州工場で製造されるLCDパネル用ディスプレイドライバーIC(DDI)をすべてLXセミコンから納品を受けていた。DDIは薄膜トランジスタ(TFT)を通じてディスプレイの画素駆動を制御するチップである。CSOTが広州LCD工場を直接運営するようになると、LXセミコンは他のDDI企業との競争を余儀なくされる。

 

ある部品業界関係者は、「ハイシリコン(Huawei傘下)、エスウィン(Eswin)、チップワン(Chipone)などが広州LCD工場へのDDI供給を進める見込みだ。サムスン電子システムLSIも供給候補の1つである」と述べた。

 

CSOTは工場引き継ぎ後も、当面の間、LGディスプレイが以前にサムスン電子などと結んでいたLCD供給契約の量を消化する予定である。その代表例が、サムスン電子に納品される55インチLCD TVパネルである。LGディスプレイは、広州工場で製造されたLCDパネルをサムスン電子やLG電子に供給してきた。

 

CSOT、LGディスプレイの長期契約分以外のモデルから部品供給網を多様化へ

CSOTはLGディスプレイがテレビなどのセットメーカーと締結した長期契約分以外のモデルから、徐々に部品供給網を多様化していくと予想されている。そのため、今年は大きな変化がないものの、今後CSOTが広州LCD工場で製造するLCDパネル向けDDIのシェアにおいては、LXセミコンの比重は次第に減少する見込みである。

 

DDI売上が減少傾向にあるLXセミコンにとっては、これは朗報ではない。LXセミコンのDDI売上は、2022年に1兆8977億ウォンを記録した後、2023年は1兆7485億ウォン、2024年は1兆6724億ウォンへと減少している。

 

市場調査会社オムディア(Omdia)によると、昨年(2024年)第3四半期の世界大型(TV・モニター・ノートPC向け)LCDパネル用DDI市場でのLXセミコンのシェアは13.3%で2位だった。1位はノバテック(Novatek)で、シェアは23.5%だった。大画面LCDパネルの品目別LXセミコンのシェアは以下の通り。

 

・LCD TVパネル向け:16.2%(2位)

・LCDモニターパネル向け:13.7%(3位)

・LCDノートPCパネル向け:8.5%(5位)

 

LCDと有機EL(OLED)を合わせた大画面パネル用DDIの出荷量では、LCD TV用DDIの比率が約40%と最も高い。

 

CSOTが今後、広州LCD工場で製造する品目構成も変化する可能性が高い。

広州LCD工場の生産能力は8.5世代のガラス基板投入基準で月18万~19万(180K~190K)枚である。これまでLGディスプレイは広州工場でLCDモニターパネルよりもLCD TVパネルを多く生産していたが、CSOTは反対にLCD TVパネルよりもLCDモニターパネルの生産を増やすと予想されている。