AppleのiPhoneが大幅に値上げされ、最大で43%の価格上昇になる見通し


2025年4月7日  芯通社

 

AppleのiPhoneが大幅に値上げされる可能性があるというニュースが報じられました。その背景には、アメリカが中国およびその他の地域からの輸入品に対して課した新たな関税があり、アナリストたちはiPhoneの価格が最大で43%も上昇し、現在の約2倍に達する可能性があると予測しています。

 

アメリカ政府は中国からの輸入品に対して34%の関税を新たに課すと発表し、以前の20%と合わせて、中国製品への関税は合計で54%にも達しました。これを受けて、Rosenblatt証券のアナリストは、Appleは関税増加によるコストを相殺するために、iPhoneやApple Watchの価格を43%程度引き上げ、その分のコストを消費者に転嫁する可能性があると指摘しています。

 

Appleの他の製品もこの影響を免れることはできず、平均して約40%の値上げが見込まれています。具体的には、iPhoneが43%、Apple Watchも43%、iPadが42%、AirPodsが39%の上昇が予測されています。

 

仮にこの予測通りに値上げが実施された場合、アメリカでのiPhone 16の販売価格は1,140ドルを超え、現在の799ドルから大幅な上昇となります。また、1TBモデルのiPhone 16 Pro Maxは2,300ドル近くに達し、現行価格の1,599ドルを大きく上回ることになります。

 

しかし、業界関係者の中にはこの43%という値上げ予測に懐疑的な見方を示す人もいます。Counterpoint Researchの共同創業者であるニール・シャー氏は、関税コストをカバーするには約30%の値上げで十分だと述べ、またCFRA Researchのアナリストであるアンジェロ・ジーノ氏は、消費者の受け入れ度を考えるとAppleが価格を10%以上上げるのは困難だろうと指摘しつつ、2025年9月に発売予定のiPhone 17では大幅な価格調整が行われる可能性があると述べています。

 

現在、Appleの総生産能力の約80%が中国に集中しており、約90%のiPhoneと80%のiPadが中国で組み立てられています。Appleはすでにタイ、インド、ベトナムなどでの生産を進めていますが、それでもなお今回の関税政策の影響を大きく受けると見られています。

 

その影響は株式市場にも現れており、Appleの株価はアメリカ市場で大きく下落し、わずか2日間で4,159億ドル(約62兆円)もの時価総額が失われ、総時価は3兆ドルを下回る結果となりました。

 

Rosenblatt証券は、Appleが関税の免除を受けられなかった場合、最大で400億ドル(約6兆円)の損失が発生する可能性があると試算しています。

 

TechInsightsのアナリスト、ウェイン・ラム氏の分析によれば、最新のiPhone 16 Pro(256GB)の販売価格が1,100ドルであるのに対し、Apple社内での見積もりコストは約550ドル、組み立てや検査などを含めると1台あたりのコストは約580ドルに上昇します。そこに広告費やiMessage、iCloudなどのサービスを加味しても、Appleの利益率は依然として高い状態です。

 

しかし、今回の関税が適用されることで、1台あたりのコストは850ドルにまで跳ね上がると見込まれており、Appleが価格を据え置いた場合、その利益は大幅に圧縮されることになります。一方で、生産の一部をアメリカに移すという選択肢もありますが、それには高額な費用がかかり、実現は容易ではありません。

 

たとえ一部をアメリカ国内で製造することになっても、使用される多くの部品は輸入品であるため、それらにも関税が課せられることになります。Rosenblatt証券のシニアリサーチアナリストであるバートン・クロケット氏は、アメリカ国内への製造移転は大規模で困難なプロジェクトであり、実現には数年を要する可能性があると説明しています。

 

さらに彼は、仮にiPhoneの製造を完全にアメリカに移した場合でも、その価格はさらに高くなるだろうと述べています。なぜなら、中国の組立エコシステムは労働集約型で成り立っており、アメリカでは同様のコスト効率は期待できないためです。

 

実際、中国でのiPhone組み立てにかかるコストが約30ドルであるのに対し、アメリカでの組み立ては約300ドルにもなると見られており、さらにタッチスクリーンや内部メモリといった各種部品もすべてアメリカ国内で生産した場合のコストは、計り知れないほど高くなると予想されています。