2024年12月27日 The Elec
市場調査会社Omdiaの最新の予測によると、今年のテレビ用有機発光ダイオード(OLED)の出荷台数は昨年の529万台より34%多い709万台に達する見込みです。これは昨年を上回るものの、2022年の745万台には及びません。なお、2022年にはサムスン電子がOLEDテレビ市場に参入しました。
テレビ用OLEDには、LGディスプレイのホワイト(W)OLEDとサムスンディスプレイの量子ドット(QD)OLEDが使用されています。パネルサイズによって差がありますが、生産能力はLGディスプレイのW-OLEDが年間約1,000万台、サムスンディスプレイのQD-OLEDが年間約200万台とされています。
年度別のテレビ用OLED出荷台数:
LGディスプレイ(W-OLED)
2022年:640万台
2023年:420万台
2024年:570万台(推定)
サムスンディスプレイ(QD-OLED)
2022年:110万台
2023年:110万台
2024年:140万台(推定)
Omdiaは、ハイエンドテレビ市場の大型化傾向がテレビ用OLED分野に悪影響を与えたと分析しています。77インチ以上のテレビパネル市場では、第10.5世代の液晶(LCD)工場が第8.5世代のOLED工場より価格競争力で優れています。
さらに、プレミアムテレビ市場ではミニLED-LCDテレビの出荷台数がOLEDテレビより急増していると報告されています。出荷台数そのものは依然としてOLEDテレビのほうが多いものの、成長率ではミニLEDテレビが優勢です。プレミアムテレビには、OLEDテレビ、ミニLED-LCDテレビ、および量子ドットシートを貼り付けたLCDパネル「QLED」テレビが含まれます。
テレビ用OLEDの出荷台数の低迷は、LGディスプレイの赤字が続く要因であり、サムスンディスプレイのQD-OLED事業の赤字要因とも評価されています。
モニター用OLEDの動向:
一方、今年のモニター用OLED出荷台数は昨年の82万台から154%増の209万台に達すると予測されています。2022年の出荷台数は16万台にとどまりました。モニター用OLEDにはサムスンディスプレイのQD-OLEDとLGディスプレイのW-OLEDが主に使用されています。この市場ではQD-OLEDが70%、W-OLEDが30%を占めています。モニター用OLEDは高速応答性と高いコントラスト比がゲーマーに人気です。
市場規模と価格動向:
今年のテレビ用OLEDの売上高は39億ドルと予測され、昨年の32億ドルを上回るものの、2022年の43億ドルには届きません。モニター用OLEDの売上高は今年8億6,600万ドルと予測されており、2022年の7,500万ドル、2023年の3億5,600万ドルから大幅に成長しています。
テレビ用OLEDの平均販売価格は2024年に551ドルと推定され、2022年の576ドル、2023年の598ドルより減少しています。同様に、モニター用OLEDの価格も2022年の470ドル、2023年の433ドル、2024年の414ドルへと下落しています。価格の低下はLCD製品との価格差を縮小するために必要とされています。
スマートフォン用OLED:
スマートフォン用OLEDの出荷台数は増加傾向にあります。スマートフォン用OLEDは、ファインメタルマスク(FMM)を使用した中小型RGB OLEDが採用されています。メーカーにはサムスンディスプレイ、LGディスプレイ、BOE、CSOT、天馬、ビジョノックスなどが含まれます。
年間スマートフォン用OLED出荷台数:
2022年:5億7,200万台
2023年:6億2,200万台
2024年:8億600万台
売上高:
2022年:329億ドル
2023年:347億ドル
2024年:408億ドル
平均販売価格:
2022年:58ドル
2023年:56ドル
2024年:51ドル
価格下落は中国メーカーが主導し、製造効率の改善も進んでいますが、依然として利益率は低い状況です。
世界ディスプレイ市場全体:
2024年の世界ディスプレイ産業全体の売上高は昨年の1,340億ドルから6%増加し、1,420億ドルに達する見込みです。このうちOLEDの比率は2023年の36.8%から2024年には40.4%に増加すると予測されています。2030年には全体の売上高が1,530億ドルに達し、OLEDの比率は44.5%になるとされています。