IMID2021でのサムスンディスプレイの展示内容の分析


2021年8月30日 UBIリサーチのWeekly Display Industry Analysis Reportより

 

IMID2021で、サムスンディスプレイが展示したOLEDについて分析した。

 

Eco2 OLED

今回の展示会で、サムスンディスプレイが重点を置いて紹介した部分は、消費電力を削減するEco2 OLEDある。Eco2 OLEDは、「Efficient power consumption“とEco friendly component」から取ってきた単語である。

 

Eco2 OLED 技術としては 1)偏光板の代わりに color filter(CF)を使用して透過度を向上させた Pol-less 技術、2)ディスプレイ外郭の画面を徐々に暗くするpixel dimming 技術、3)foldable OLEDで画面を分割して画面の周波数を異にする multi frequency 技術が紹介された。

 

1. Pol-less 技術

偏光板を使用する OLED は透過度が 43% だったが、偏光板の代わりに CF を使用した OLED の透過度は 57% に向上した。これにより、消費電力が25%減少した。従来の技術で製作された OLED の消費電力が 1.831W の画面が Eco2 OLED は 1.489W に減少した。

Weekly Display Industry Analysis Report

 

2. Pixel dimming 技術

人々は動画を視聴するとき、画面の中央にある主要な部分を集中的に見つめる。サムスンディスプレイは人の視線が泊まる時間が少ない周辺部を中から徐々に暗く調整して画面の消費電力を削減する pixel dimming 技術を紹介した。サムスンディスプレイは、この技術として 15.6 インチ OLED のノートパソコンで、ディスプレイの消費電力を 15% 減らした。

 

3. Multi frequency技術

サムスン電子が販売する Z Flip3 は折る画面を中心に動画やキーボードなどの静止画に構成することができる。サムスンディスプレイは動画部分とキーボード部分を独立して駆動して、消費電力を30%削減させた。

 

Foldable OLED 技術

Foldable OLED 技術は、1)folding test の耐久性、2)in-folding と out-folding が一緒にいる flex in-&out、3)flex note である。

 

1. Folding test

Galaxy Z Fold3 に搭載された 7.6 インチ foldable OLED は、25℃ で20万回の folding test を耐えることができる耐久性を持っている。

 

2. Flex in & out

In-folding とout-folding が一緒に存在する Z-folding 方式の7.2インチ foldable OLED は in-folding で曲率半径が 1.3R、out-folding は 5R である。In-folding の曲率半径が 1.3R であることは連続している out-folding によりストレスが緩和され、市販されている製品の曲率半径よりも0.1Rが低いと判断される。

 

3. Flex note

ノートパソコン用17.3インチfoldable OLEDはCES2019からサムスンディスプレイのプライベートブースに展示された製品であるが、一般に公開されたことは初めてだ。このパネルの曲率半径は、1.4Rであり、輝度は400nitである。

 

OLED 構造

OLEDに適用された構造に関連する展示内容は、1)round diamond pixelと 2)UPC(under panel camera)技術である。

 

1. Round diamond pixel

Galaxy Z Fold3 用 foldable OLED は round diamond pixel 構造を有している。

画質特性を向上させるために適用された構造である

 

2. UPC

Galaxy Z Fold3のOLEDは、カメラの穴がないfull screen display構造である。明るい画面ではUPCのholeが観察される。カメラで光が入るための部分は画素数を減らして光が通過できるように設計されている。透過度は35〜40%程度である。

 

画質特性

OLED画質が人間にどのように良いかか、参観者が分かるように展示内容が整理されていた。展示内容は、1)eye friendly、2)color that comes to life、3)cinematic experience、4)gaming performance、5)dark modeがあった。

 

1. Eye friendly

LCDはblue LEDを光源とするディスプレイであるため人体に有害な青色光が出てくる。これに比べてOLEDは、青色光が出ないことを比較展示

した。

 

2. color that comes to life

偏光板を除去してCFを適用したOLEDはcolor purityが15%上昇し、REC2020基準91%に達した。LCDは58%に過ぎない。サムスンディスプレイのOLEDは、色表現能力が最も優れたディスプレイであることを示した。

 

3. cinematic experience

サムスンディスプレイが今年の事業に集中しているノートPC用OLEDのcolor volumeはDCI-P3基準120%である。ノートパソコンで映画を見るのが増えるにつれ、ノートパソコン用のディスプレイも映画鑑賞に適したディスプレイが要求される。LCDを使用しているノートPCのcolor volumeは70%に過ぎない。

 

4. Gaming performance

ノートパソコンとしてゲームを円滑にすることができる最適のディスプレイはOLEDである。OLEDは、自発光で応答速度がマイクロ秒単位であ

るため、高速の画面変化にも最高の画質を提供することができる。LCDは 高速画面の変化に文字やグラフィックがぼやける欠点がある。

 

5. Dark mode

LCDはバックライトを使用するため、白の画面が有利だが、自発光素子であるOLEDは黒の画面に有利である。OLEDノートパソコンの画面を黒くすると、消費電力を50%削減することができ、青色光も80%減少させることができる。

 

インクジェットで製膜したOLED

サムスンディスプレイが久しぶりにinkjetを用いて製作したOLEDを展示した。ノートパソコンに使用ができる18.2インチであり、3200 x1800のQHD+解像度製品である。画面サイズが18.2インチにもかかわらず、輝度は300nitであり、color gamutはDCI-P3基準99.3%である。蒸着方式よりまだcolor gamutが低い。

 

AI スピーカー

サムスンディスプレイがOLEDのアプリケーションとしてフレキシブルOLEDで全面を覆っているAI speakerを展示した。12.4インチのFHD+パネルで輝度は400nitである。

 

(UBIリサーチのWeekly Display Industry Analysis Reportは一週間のOLEDを含めたディスプレイ産業で発生する毎週の情報を分析し、お客様にご提供するレポートです。本 Reportは1年間提供される有料サービスで、毎週月曜日にUBIリサーチから契約したお客様にメールで直接配信しております。お問い合わせは分析工房までお願いします。)