IMID 2021 におけるOLED関連発表速報


2021年9月27日 UBIリサーチのweekly reportの一部抜粋

 

IMID2021 の OLED セッションは Material が 2 セッション、Manufacturing と Device がそれぞれ1セッションで、発表論文数は合計35件であった。その論文数内訳では6割強が Material であった。また今回、Blueだけで1つのセッションが組まれたことは、Blue材料開発が強く求められていることの反映だと思われる。

 

IMID2021 では AI/Simulation による材料・デバイス開発のセッションが設けられ全15件の論文が発表されたが、そのうちの10件がOLEDであった。Material セッションの中の内訳をみると半数以上が TADF に関する発表であり、またTADFの中では DABNAのような Multi Resonance 型が注目されている。TADFに次いでりん光の青色も Pt 系や Pd 系を中心に積極的に研究されている。

 

LG Chemical は招待講演で Solution process OLED の Blue 材料について、現時点の特性を報告した。

 

Solution process OLED 材料は高分子型と低分子型に大別され、住友化学が高分子型に特化しているのに対してLG Chemical は低分子型に注力している。高分子型はキャリアの輸送特性や発光特性など様々な機能を共重合によって分子内に組み入れることができ、その結果層数の少ないシンプルな素子構造が可能になるという特長を持っている一方、低分子型は高濃度でも粘度が比較的低く保たれるため Inkjet 成膜に適しているという特長がある。

 

LG Chemical は発光層の材料だけでなく HIL, HTL, ETL などの材料も提供すると同時に、IJP プロセスへの Ink の適合性も追求しており、現在最大の課題となっている Blue 材料の特性は下表のように業界トップの値を実現している。今後の目標として 2022 にTop emission Blue の特性を CIEy = 0.06。LT95@1,000Cd/m2 > 500h で電流効率 7 Cd/A と設定している。

 

AR/VR 用に用いられる Micro Display として OLEDoS ( OLED on Silicon ) が用いられているが、現行商品は White + Color Filter 方式であるためColor Filter による光の吸収で輝度が低い。これを解決するために RGB Direct Patterning が eMagin によって進められている。eMagin の方式は半導体プロセスで作製する SiN マスクである。

 

これに対して AP Systems が発表したのは INVAR 材の FMM ( Fine Metal Mask ) である。Smartphone 生産用の FMM はウェットエッチングによって開口部を作製するが、AP Systems はレーザー加工で作製する。マスク作製プロセスは 20~40μmの INVAR を膜厚が均一な 8μmになるように加工したのちにレーザーで 表示領域の部分を 2~5μm厚まで切削する。そして開口部は UV レーザーで開ける。INVAR はマグネット・チャックができるので蒸着時に Si 基板とマスクを密着させることができるところが SiN マスクよりも有利である。