2021年10月18日 UBIリサーチ Weekly Report
2021年の年初から噂になっていたサムスン電子のOLED TV事業が具体化しつつある。 主にLG電子とSonyによって展開されてきたOLED TVに対して、サムスン電子はmicro-LED TVとmini-LED TVとして対抗してきたが、LCDパネルの価格上昇とOLED TV市場の拡大によって2022年にはTV事
業を見直さざるを得なくなった。
サムスン電子がCESやIFAで最高のTVとして主唱してきたmicro-LED TVは1000万円を超える高価な製品であるため、市場を開拓することができ
ず、今後も年間で千台以上の市場は作りにくい製品と分析されている。
また、mini-LED TVも市場ではOLED TVと対抗することができる製品として認められていない。 OLED TVはピクセル単位で画面を調整しているが、市販されているmini-LED TVは500〜1000ブロックレベルのローカルディミングで画面をコントロールしており、TVで必須のコントラスト比はLCD TVより若干良い程度である。ローカルディミングを実現するためのmini-LED BLUの製造コストは高く、営業利益の点で魅力がない製品である。
このような状況により、サムスン電子のmicro-LED TVとmini-LED TV事業が早く限界に達するとみられる。
一方、OLED TVは徐々に市場を拡大している傾向にある。 2021年第1四半期と第2四半期にそれぞれ160万台と180万台のOLEDパネルが出荷されており、第3四半期には240万台が出荷されたことが分かった。 9月までに、すでに580万台が販売され、2020年TV用OLED出荷量440万台をはるかに超えた。第4四半期にも第3四半期と同様に、240万台程度供給されると予想され、2021年TV用OLED予想販売量は820万台である。
OLED TV販売好調は、これまでLCD TV業界が提起してきたOLED TVの焼き付き問題が解決された点と、48インチのOLED TVはゲーム用にも販売されている理由などによる。
サムスン電子と共に窮地にあるメーカーはサムスンディスプレイである。 過去にOLED TVは事業にならないものと判断した経営陣によって早目white OLEDパネルの開発を放棄したサムスンディスプレイが、一歩遅れてQD-OLEDとして大型OLED市場への参入を急いでいる。湯井の8.5G 30K QD-OLEDラインは65インチOLEDパネルの量産のための最後の仕上げを急いでいる。最大の顧客はサムスン電子となる予定であり、Sonyはまだ検討中である。
サムスンディスプレイに2022年に供給が可能になると予想される量は、量産キャパと歩留まりなどを考慮したとき、60万台程度である。優先的に製品はすべてサムスン電子に提供されると予想される。 SonyもサムスンディスプレイのQD-OLEDパネルをテストしているが、パネルの特性やパネルの価格を考慮したとき、まだ大きな興味を持っていない。
サムスン電子にOLEDパネルを供給する主な企業は、LGディスプレイになるだろう。 LGディスプレイが2022年に生産可能な量は、サイズを考慮した場合、最大1100万台程度である。 LG電子の今年の実績を考慮すると、2022年にはLG電子が600万台程度を製造することが予想され、Sonyが300万台程度になる見込みだ。その他のメーカーに提供されている量を考慮すると、LGディスプレイがサムスン電子に供給可能な量は200万台程度と推定される。
2022年にサムスン電子が250万台程度のOLED TVを生産することになれば、これまで維持してきたTVラインナップに大きな変化が起きると思われる。家庭用TVとして、最上位の級Neo QLED TV(mini-LED TV)のような領域にOLED TVが位置づけられるだろう。
サムスン電子の残された課題は、OLED TV販売によるNeo QLED TV販売不振になるだろう。
来年に注目されるもう一つの問題は、mini-LED TVとmicro-LED TV市場である。トップメーカーであるサムスン電子によってこの二つの製品が注目されてきたが、サムスン電子がOLED TVを採用すると関心度が急激に低下する可能性があるからである。