2024年12月20日 Display Daily By Shawnee Blackwood
ポーランドのOLED技術企業であるノクティルカ(Noctiluca)は最近、「世界最大級の中国を拠点とするテレビメーカーの子会社」との提携を発表しました。この共同開発契約(JDA)は、ノクティルカにとって大きな前進であり、自社の独自技術である電子注入層(EIL)材料をパートナー企業のOLED製品に活用することを目指しています。この発表は、ノクティルカがワルシャワ証券取引所に上場した直後に行われました。
OLEDディスプレイは複数の層で構成されており、それぞれが電気を光に変換する過程で重要な役割を果たしています。このプロセスの中心となるのは発光層で、ここで光が生成されます。しかし、このプロセスを効率的に進めるためには、補助的な材料も同様に重要です。そこでノクティルカのEILが登場します。この層は電子を発光層により効果的に流し込み、ディスプレイを動作させるのに必要なエネルギーを削減します。その結果、エネルギー消費が少なく、耐久性が大幅に向上したOLEDが実現します。
OLED技術における最大の課題の一つは、ディスプレイの全色範囲を作り出すために必要な青色発光材料の改善です。青色ピクセルは赤や緑に比べて劣化が早いため、ディスプレイの寿命が短くなりがちです。ノクティルカはこの問題に独自の方法で取り組んでいます。同社は青色発光材料自体を再開発するのではなく、EILのような補助材料を開発することで青色発光の性能を間接的に向上させました。この戦略により、青色ピクセルの耐久性と効率性が向上するとともに、製造プロセスを大幅に変更することなく、メーカーがこのソリューションを採用しやすくなっています。
さらに、ノクティルカの材料は物理蒸着法(PVD)やインクジェットプリント(IJP)などの高度な製造技術にも対応するよう設計されています。