2025年4月28日 Omdia
タンデムパネルの出荷量が急増している主な要因は、アップルがOLED技術に基づく新型iPad Proを発表したことにある。アップルの初のOLED搭載タブレットおよびノートパソコン製品は、主に高級モバイルPC市場をターゲットとしており、タンデム技術を採用することで表示品質を大幅に向上させ、競合他社や自社の旧型製品との差別化を図った。
Omdiaの調査はさらに、アップルが2026年に初のOLED版MacBook Proを投入する見通しであり、それに伴ってタンデム技術の普及率が再び上昇し、36%に達すると予測している。
タンデムOLEDは、二層のRGB発光構造を採用しており、理論上は最大で二倍の輝度と四倍の寿命を実現できる。この特性はブランド企業や消費者の双方にとって非常に魅力的なアップグレード要素となっている。
とはいえ、タンデムOLEDの性能向上には一定の技術的課題も伴う。Omdiaのディスプレイリサーチ部門責任者であるチャールズ・アニスは、「二層の発光構造間に差異が存在するため、画質に影響を及ぼす可能性があり、共通層が増えることでパネルにクロストーク(信号干渉)が発生しやすくなる」と指摘している。
さらにアニスは、「タンデムOLEDは製造過程でより多くの蒸着工程と精密金属マスク(FMM)を必要とするため、材料消費が増加し、歩留まりにも影響を与える」と付け加えた。このため、従来の単層OLEDと比較すると、タンデムOLEDを用いたタブレットおよびノートパソコンパネルの製造コストは約50%から75%高くなる。
高輝度と長寿命が求められる用途では、タンデムOLEDが市場シェアを急速に拡大する見込みである。車載ディスプレイがその典型であり、現在タンデムOLEDのこの分野での浸透率はすでに50%近くに達している。これに対し、スマートフォンは高解像度と歩留まりをより重視するため、タンデムOLEDのコスト優位性は薄く、短期的には普及率は低い水準にとどまる見通しとなっている。
タブレットとノートパソコンはこの両者の中間に位置しており、Omdiaは2024年から2030年にかけて、タンデムOLEDパネルの出荷量が年平均25%の複合成長率(CAGR)で急成長すると予測している。一方、単層OLEDを用いたタブレットとノートパソコンパネルも、より高い輝度に追加料金を支払いたくないがLCDからのアップグレードを望むユーザー層に支えられ、29%の年成長率で拡大すると見込んでいる。