LGディスプレイ、2024年の車載ディスプレイ出荷台数は前年比4.5%増の1870万台、世界5位を維持


2025年3月23日 The Elec

 

LGディスプレイ(LGD)は、2024年に車載ディスプレイを1870万台出荷し、世界市場で5位を維持したことが、市場調査会社シグマインテル(Sigmaintell)の23日の発表で明らかになった。この出荷台数は2023年の1790万台(シェア8.3%)から4.5%増加したものの、世界の車載ディスプレイ市場全体の出荷増加率8.5%(2億1460万台→2億3290万台)には及ばず、LGディスプレイの市場シェアは2023年の8.3%から2024年には8.0%へと若干減少した。

 

世界の車載ディスプレイ市場では、ローエンド製品であるアモルファスシリコン(a-Si)液晶ディスプレイ(LCD)の割合が依然として大きい。一方で、電子移動度が高い低温ポリシリコン(LTPS)LCD、ミニLED、そして有機EL(OLED)などのハイエンド製品が市場の上位を占めている。

 

シグマインテルの評価によると、LGディスプレイはLTPS LCDとOLEDといったハイエンド市場を主導しており、LGディスプレイの車載ディスプレイ出荷に占めるa-Si LCDの割合はごくわずかで、大部分がLTPS LCDとOLEDで構成されている。さらに、LGディスプレイは大型・高解像度・非定型ディスプレイやタッチ機能の分野で革新を続けており、特に高級車ブランド市場で存在感を強く示していると評価されている。

 

2024年の車載OLEDの出荷台数は前年の2倍以上となる260万台に達した。車載OLEDはLGディスプレイ、サムスンディスプレイ、BOEの3社が量産しており、このうちサムスンディスプレイが最も多い140万台を出荷した。また、2024年の車載ミニLEDディスプレイの出荷台数は前年より41.2%増加し、120万台に達した。ミニLEDは主に中・高価格帯の車両に搭載されている。

 

さらに、LGディスプレイは2024年2月に、40インチのP2P(Pillar to Pillar)ミニLED LCDパネルをソニーとホンダの合弁会社であるソニーホンダモビリティ(Sony Honda Mobility)に供給することを発表した。このパネルは、車両のダッシュボード全体をカバーする超ワイドディスプレイで、次世代の車載ディスプレイ市場で重要な役割を果たすと期待されている。

 

このように、LGディスプレイはLTPS LCDとOLEDを中心に高級車市場で優位性を維持しつつ、P2PディスプレイやミニLEDなどの新技術にも積極的に取り組み、車載ディスプレイ分野での競争力を強化している。

 

LGディスプレイは、2024年2月に車載用40インチのP2P(Pillar to Pillar:ピラー・トゥ・ピラー)ミニLED液晶ディスプレイ(LCD)パネルをソニーホンダモビリティ(Sony Honda Mobility)に供給すると発表した。ソニーホンダモビリティはソニーとホンダの合弁会社である。(資料:LGディスプレイ)
LGディスプレイは、2024年2月に車載用40インチのP2P(Pillar to Pillar:ピラー・トゥ・ピラー)ミニLED液晶ディスプレイ(LCD)パネルをソニーホンダモビリティ(Sony Honda Mobility)に供給すると発表した。ソニーホンダモビリティはソニーとホンダの合弁会社である。(資料:LGディスプレイ)

 

昨年、車載ディスプレイの出荷量が最も多かった企業はBOEで、4090万台(市場シェア17.6%)を記録した。続いて、2位は天馬(Tianma)で3690万台(15.9%)、3位はAUOで2440万台(10.0%)、4位はJDIで1970万台(8.5%)、そして5位はLGディスプレイで1870万台(8.0%)という結果だった。世界経済の不確実性が続いた昨年も、車両のインテリジェント化や新エネルギー車両の普及などにより、車載ディスプレイの出荷量は増加した。

 

Tianma(天馬)は中小型車載ディスプレイの製造経験が豊富であり、昨年はLTPS LCDの出荷量を大幅に増やした。一方で、JDI(ジャパンディスプレイ)は、出荷量が前年より17.9%減少し、昨年の車載ディスプレイ出荷量トップ5社の中で唯一減少を記録した。

 

昨年の車載ディスプレイ出荷量のうち、中国企業のシェアは51.7%に達した。50%を超えたのは今回が初めてであり、中国の電気自動車(EV)出荷量の拡大や製品の差別化により、現地のパネルメーカーが恩恵を受けたことが背景にある。

 

シグマインテル(Sigmaintell)は、ディスプレイ技術の向上が人工知能(AI)とコネクティビティ技術の発展と相まって、スマートデバイスとの連携が進み、よりインテリジェントで個別化されたユーザー体験が提供されるようになると予測している。今後の主要なトレンドとしては、大画面化、曲面ディスプレイ、非定型ディスプレイ、統合型ソリューションなどが挙げられる。2025年の世界の車載ディスプレイ出荷量の予測は、前年比5.4%増の2億4500万台に達すると見込まれている。

 

(出典:シグマインテル、2025年3月資料)
(出典:シグマインテル、2025年3月資料)