Apple、酸化物LCD採用のMacBook Air開発に着手


2025年1月17日 The Elec

 

OLED採用の遅延に伴う代替案として推進、2027年発売を目指す

 

Appleが酸化物(オキサイド)薄膜トランジスタ(TFT)方式の液晶ディスプレイ(LCD)を採用したMacBook Airの開発に着手した。MacBook Airに酸化物TFT方式のLCDを採用するのはこれが初めてとなる。

 

17日、部品業界によると、Appleは昨年末から協力会社とともに酸化物TFT方式LCDを採用したMacBook Airの開発を開始したことが明らかになった。発売時期は2027年が見込まれている。

 

MacBookシリーズは上位のProラインと下位のAirラインで構成されている。Appleは2022年に発売した14.2インチおよび16.2インチのMacBook Proに酸化物TFT LCDを採用し、13.6インチおよび15.4インチのMacBook Airには非晶質シリコン(a-Si)TFT LCDを採用していた。酸化物TFTはa-Si TFTよりも電子移動度が速い特長がある。当時、MacBook ProのLCDのバックライトにはミニLEDが使用された。

 

Appleが2027年の発売を目指して酸化物LCDのMacBook Airを開発するのは、有機ELディスプレイ(OLED)採用のMacBook Air発売延期に伴う新製品の空白を埋める意図があるとみられる。当初、Appleは2026年にOLED MacBook Proを発売し、その翌年にOLED MacBook Airを発売する予定だったが、計画が遅延している。

 

業界関係者は「AppleはOLED MacBook Airを2027年に発売する予定だったが、開発が遅延しており、その間に販売可能なMacBook Airを準備する必要がある」と述べた。また別の関係者は「OLED MacBook Airの発売は2029年ごろになる可能性が高い」と予測した。

 

酸化物LCD MacBook Airのパネルも、LGディスプレイが主要供給業者となる見込みだ。これまでApple向けのMacBook用LCDはLGディスプレイやシャープが供給してきた。

 

OLED MacBook Airの発売延期の背景には、昨年発売されたOLED iPad Proの販売不振が影響している。Appleは当初、OLED iPad Proの販売目標を1,000万台に設定していたが、実際の販売台数は600万台程度にとどまった。LCDをOLEDに変更したことで製品価格が大幅に上昇し、これが障害となったとみられる。業界では今年のOLED iPad Proの販売台数も多くないと予測している。

 

Appleは昨年、OLED iPad Proを発売する一方で、同年発売のiPad AirにはTFT技術を2022年モデルのa-Si方式から酸化物方式に変更している。

 

AppleにとってMacBook Airは販売量が多いローエンドモデルである。Appleの年間MacBook出荷量は2,000万台中盤で、そのうちProは500万台、Airは2,000万台程度を占める。

 

AppleがOLED MacBook Airに採用予定だったパネルは、発光層が1層のシングルスタックOLED製品だった。2026年発売が予測されるOLED MacBook Proには、発光層が2層のタンデムOLEDが採用される計画である。OLED MacBook Proのパネルは、Samsung Displayが単独で供給する可能性が高く、生産量は数百万台と見込まれている。