2024年11月27日 the bell
韓国のロボティクス業界は業績の浮き沈みから抜け出せない状況にあります。18社のロボット関連上場企業の業績は、2021年に1兆ウォンを超えて好調なスタートを切ったものの、翌年から成長は鈍化。今年は1兆ウォンの壁を超えられるかどうかも予測が難しい局面です。そんな中、トランプ政権の再登場がロボット産業に追い風となる期待が高まっています。さらに、革新の象徴であるイーロン・マスクの活躍も、韓国企業にとって新たな機会を生む可能性が注目されています。
T-Roboticsの成長戦略
T-Robotics(ティーロボティクス)は、ロボット産業全体が停滞する中でも目立った成長を遂げています。同社は韓国のロボット関連上場企業18社の中で売上成長率2位を記録しました。その背景には、主力産業であるOLED業界の回復傾向と、新事業である産業用自律走行物流ロボット(AMR)の多角化効果があります。
真空ロボットの成長と新事業AMRの加勢
ティーロボティクスの今年の第3四半期までの売上高は509億ウォンで、前年同期(291億ウォン)に比べて大幅に増加しました。第3四半期単独では10四半期ぶりに営業黒字を達成しました。既存事業である真空ロボットと新事業であるAMRが成長を牽引した結果です。
真空ロボットの反転
真空ロボットはOLED製造の重要工程である蒸着プロセスに用いられ、精密な位置制御や安定的なパネル搬送の機能を持っています。グローバルなOLED設備投資が回復期に入り、大幅な売上増加を記録しました。韓国で唯一OLED用真空ロボットを製造するティーロボティクスは、世界的にも競合は日本電産サンキョーやダイヘンなど限られた企業にとどまります。
サムスンディスプレイ(4兆1,000億ウォン)と中国のBOE(11兆ウォン)が昨年発表した8.6世代OLED投資計画を受け、関連市場が活性化。今年は中・大型OLED設備投資が進み、ティーロボティクスに有利な環境が整いました。真空ロボットと真空搬送モジュールの第3四半期合計売上は290億ウォンで、前年同期(185億ウォン)より58%増加しました。
多様な顧客基盤と海外市場への展開
ティーロボティクスはサムスンディスプレイやBOEをはじめ、多様な国内外顧客を抱えています。また、世界1位の半導体装置メーカーである米国A社とも提携しています。同社が生産した真空ロボットの70%以上は米国の顧客に供給されており、全体売上の40%が中国市場、44%が米国市場から発生しています。サムスンとLGによるディスプレイ投資の進展に応じて、国内売上が拡大する可能性もあります。
ティーロボティクスは、既存事業の強化と新規事業の拡大を通じて、ロボティクス業界において着実な成長を目指しています。