韓国のDKTはベトナムで300億ウォンを投資し、新たなITとOLED向け、エレクトロニクス事業を目指す


2025年4月17日 The Elec

 

DKTは、IT向けOLEDや車載分野などの新規事業を見据えて、300億ウォン規模の設備投資を行うことを明らかにしました。この投資は、主に新たな生産ラインの構築や既存の生産能力の拡充に充てられる予定です。

 

同社は今月1日、ベトナムに対して300億ウォンの投資を発表しました。投資の目的は、「北米およびグローバル顧客向けの新しい生産ラインを確保するための生産設備の構築」であり、投資期間は今月から来年8月までとされています。新ラインの一部稼働は、それより早く始まる見込みです。

 

DKTはベトナムにおいて、主力製品であるスマートフォン向けフレキシブルプリント回路基板アセンブリ(FPCA)モジュールを安定的に生産しつつ、新事業による売上増も目指しています。FPCAモジュールとは、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)にチップや積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの部品を表面実装(SMT)して製造されるものです。

 

同社の部品生産のうち、ベトナムでの割合はすでに90%以上を占めており、今回の新しい生産施設により生産ラインの統合と運営効率の向上が期待されています。

 

DKTベトナムの新しい生産拠点の完成予想図(資料=DKT)
DKTベトナムの新しい生産拠点の完成予想図(資料=DKT)

 

新規事業分野には、バッテリー保護回路装置であるS-PCM(Sip Protection Circuit Module)、IT向けOLED、車載部品などが含まれています。最近開発されたS-PCMは、バッテリーの過電圧・過電流を防ぐ機能を持ち、従来のPCMよりも小型でバッテリーのエネルギー効率が高く、放熱性能にも優れていることから、フラッグシップスマートフォンに搭載されています。昨今のオンデバイスAI人気により、高性能バッテリー技術への需要も急増しています。

 

オンデバイスAIのブームによって、FPCAモジュールに実装される部品数も増加傾向にあり、スマートフォンにAI機能が追加されるにつれて、搭載する部品数が増え、部品の実装難度も高まっています。これにより、FPCAモジュールの単価が上昇し、DKTは昨年恩恵を受けました。

 

また、同社は欧州などのグローバル完成車メーカーへの納品を目的とした部品ラインの確保にも取り組んでいます。昨年は国内のバッテリーメーカーと連携し、エネルギー貯蔵装置(ESS)向けのバッテリーマネジメントシステム(BMS)事業を本格化させました。BMSは、バッテリーの状態を監視・制御して、最適な状態での使用をサポートする装置です。

 

DKTは「エナジーソリューション(ES)事業部」を新設し、PCM、ESS用パワーモジュール、BMS、電気自動車用バッテリーパック事業を担当しています。

 

昨年の同社の業績は、売上4033億ウォン、営業利益231億ウォン、当期純利益269億ウォンでした。売上は前年比で44%増加し、営業利益は84億ウォン、純利益は225億ウォン増加しました。オンデバイスAIの人気が好影響を及ぼしたとされています。全体売上のうち78%(3156億ウォン)はスマートフォン部門によるもので、車載部門(648億ウォン)は全体の16%を占めています。

 

今年の業績予測としては、売上4900億~5000億ウォン、営業利益300億ウォン前後が見込まれており、オンデバイスAI市場の拡大、既存のスマートフォン部品事業、IT向けOLEDなどの新規事業、ESS向けBMSモジュールの供給などが成長の要因として期待されています。